彼と私の航海日誌

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「ただぁい……ま?」

仕事が終わって玄関の扉を開けたら、何故かマルコさんが正座をして玄関前に座っていた。
「え…?どうしたんですか…?」
今日も疲れたー、とか思いながら夕飯のメニューを考えていた私は目の前の彼にポカンと口を開けてしまった。
帰ってきた私をチラリ、と見やったマルコさんはその大きな体を縮こませるとどこか申し訳なさそうにソッと私から視線をそらした。
「その……、悪気があったわけじゃねぇんだよぃ……、ただ、ちょっと…気になってねぃ……」
そう小さく言葉にしたマルコさんに首を傾げてとりあえず玄関の扉を閉めた。
ご近所さんにこんな光景見られたら変な誤解をされかねない。
そう言ったマルコさんに靴を脱いで再びマルコさんを見下ろし何がですか?と尋ねてみる。
そんな私の言葉に小さく肩をビクつかせたマルコさんは顔を俯かせたままソッとリビングの方を指差した。
その指を辿ってリビングへと視線を向けたけれど今朝家を出た時と何ら変わりは見られない気がする。
変わった所と言えばマルコさんが洗濯物をわざわざ取りこんで畳んでくれていることぐらいだろう。
毎回毎回良いですよ、って言ってるのに律儀な人だな。
特に変わりのない部屋に再びマルコさんに視線を戻す。
「マルコさん……?どうしたんですか?」
「あー……、ぱそこん、ってやつをねぃ……いじってたんだよぃ」
そう言ったマルコさんにテーブルの上に置かれていたPCへと視線を向ける。
「急に画面が真っ暗になってねぃ…、動かなくなっちまったんだよぃ……」
「え゛……?」
そう言ってますます肩を縮こまらせたマルコさんに、取りあえず正座したままのマルコさんを立ち上がらせ彼の腕を引いてリビングへと向かった。

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