金色猫とタンゴ

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 ――ピロン
カタカタとキーボードの音だけが響いていた部屋に、PCに向かい明日の商談の資料を作成していたマルコは不意に部屋に響いた着信音に傍らに置いていた携帯を手に取った。
『今家にいる?』と送られてきた幸からの簡潔なメールに、ここ最近では良く家に顔を出すようになった少女の顔を思い出したマルコは、何か用事だろうか?とそのメールに『居る』とだけ返すと、すぐに既読の付いたトークにピンポーンと鳴ったチャイムの音にパチリ、と目を瞬かせた。
人が訪問してくるには随分と遅い時間に、まさかねぃ…と小さく声を漏らしたマルコは書きかけだった資料を保存するとイスから立ち上がり玄関へと向かった。



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