金色猫とタンゴ

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 ――ピンポーン
カタカタとキーボードの音だけが響いていた部屋に鳴り響いたチャイムの音にピタリ、と作業の手を止めたマルコは怪訝そうに玄関口を振り返ると眉を顰めさせた。
時間で言えばもういいところ皆寝ている時間であろう夜11時に、脳裏に過った同僚達の顔を思い浮かべたマルコは面倒臭ぇ…、と家に来るとすぐ宴会を始める同僚達にそう小さく零すとチャイムの音も聞こえぬふりをして再びPCへと向き直った。
さて、どこまでやったか。と打ちこみ途中だった文章を目で追っていたマルコは、一度鳴ったきりそれ以降鳴らないチャイムの音にキーボードへと伸ばしかけた手をピタリ、と止めると再び玄関口を振り返った。
いつもであればこちらが顔を出すまで鳴らし続ける連中に、アイツ等じゃねぇのか…?と小さく眉を顰めたマルコはかけていた眼鏡を外すとイスから立ち上がり玄関へと歩き出した。

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