そして君に恋をする

□2章
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凛に彼女が出来た。
それを聞いたのは学校へ来てすぐのことだった。
相手はやっぱり1年のチカちゃんで……。
凛からじゃなく、チカちゃんからの告白らしくて。
なんだ……結局両想いだったんじゃないか、なんて自嘲気味な笑みが浮かんだ。
その話をしていたのは噂好きの男子で、教室中に聞こえるくらいの声でそう言うと本人に確認済みだ、と付け加えた。
ちょうど鞄を片付けようとしていた私は思考が止まった。
横から裕次郎が何かを言っていたけど耳に入らなかった。
「楓……」
「ごめん……私、気分が悪いからさ…帰って、良い、かな……」
自分でも分かるぐらい声は震えていて、下ろした鞄を再び肩にかけると裕次郎の言葉も聞かずに教室を出て行った。

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