そして君に恋をする

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全員が校外マラソン50Kmに出て10分経つ。
まぁ、トップが来るまでまだまだ時間があるだろう。
そんなことを思いながらいつもより多めにドリンクを作り冷却スプレーやらなんやらを用意する。
みんな、いつにも増してやる気に溢れてるな……。
そう言えばもう少しで都大会のメンバーが決められるんだったな……。
この前国光とそんなメールのやりとりをした覚えがあった。
2年からレギュラーが選ばれることは少ないから、そのぶんみんな必死で練習してるんだ。
凄いな、なんて思っていると真後ろから名前を呼ばれる。
驚いて振り返るとそこには少し息を切らせた永四郎の姿があった。
「え、永四郎?!どうしの?なんかあった?!」
あまりにも早いご到着に慌てふためく私に永四郎は極めて冷静にいや、と首を振る。
「楓、アンタ……公式の試合をした記憶はありますか?」
ここに来て、と言う永四郎の言葉に首を傾げる。
なんで急にそんな話をするんだ。
まずは十分な休憩を取ってから筋肉をほぐさなきゃ……。
そんなことを考えている私に再び永四郎が口を開く。
「あるのかと聞いてるんですよ」
「な、ないけど……てか…私マネージャーでたまにしか打たないし……」
そう答えた私に永四郎はそうですか、と言って眼鏡を上げた。
そしてひたりと私を見据えると

「では、俺と公式試合をしましょうか」

とのたまった。

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