そして君に恋をする

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甲斐は楓の姿が見えなくなるとハァ、と大きな溜息をついた。
「ふらぁかわんは……」
「馬鹿でなければお人好しでしょうよ」
そうポツリと呟いた独り言に返事が返ってきて甲斐は慌てて後ろを振り返る。
そこには無表情で立つ木手の姿。
「やー……いつから……」
そんな木手に甲斐は呆れた様にそう言った。
「ついさっきですよ。………甲斐君」
「ぬーやが……」
後ろから前へと移動した木手は机に背をもたれさせると甲斐を見た。
甲斐はきっと言われる言葉を分かっているんだろう木手から少し視線を外した。
「お人好しも結構ですが泣くのは自分ですよ」
「わかっちょるさぁ……けどよ……好きな子が泣くのは嫌なんさぁ……」
そう言って自嘲する甲斐に木手は溜息をつくとそのまま席を離れた。
そんな木手の後姿を見送ると甲斐は机に突っ伏した。

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