そして君に恋をする

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最近、私は凛を見ていることが多くなったと思う。
最初はただなんとなくあぁ、凄いなぁってテニスする姿を見ているだけだった気がする。
でも最近は部活以外でも凛の姿を見かけると目で追いかけていることがあって……
自分で言うのもなんだけど……凛のこと好きなのかなぁ…なんて思ってしまった。
今まであまり本格的な恋なんてしたことがなかったからな。
1年の頃は部活動で手一杯だったし。
そりゃまぁ大和部長にちょっと憧れてたけどあれを恋と呼ぶにはあまりにも程遠いものだった。
砂浜で裕次郎達と沖縄武術で組み手をしている凛を見てこっそりと溜息をつく。
「やっぱり永四郎はちゅぅばぁ(強い)さぁ……」
一人思考に浸っていると組み手を終えたのか凛が溜息をつきながら私の横にドサリと座り込む。
肩にタオルはかけているけれど海水パンツ姿なわけで思わず少しだけ距離を置く。
そんな私に凛はにりたぁと言うとドリンクを要求する。
コップにドリンクを入れて渡すとにふぇーでーびる、と笑みを返される。
そんな一つ一つに心臓が早くなる。
挙動不審にならないようにするのが精一杯だ。
「楓はしーるーなぁ、日焼けはさんのか?」
「バッチリ完全防備ですから」
頭にキャップをかぶり日焼け止めクリームは必需アイテムになっている。
そう笑って言うと流石だと言われる。
「からじがちゅらさんやっさー、痛んでねーらん」
そう言って梳くように髪に触れる凛。
ヤバイ……顔紅くなってないだろうか……
「伸ばしたらどーさ?わん、やーのからじしちゅんばーよ」
そう笑って言う凛にドキッとした。
あぁ、そうか……私は多分この笑顔に惹かれたんだろうな。
未だに五月蝿い心臓を押さえながらそうだね、と返すとそうそう、と頭を撫でられる。
凛はそのまま永四郎に呼ばれ再び砂浜へと駆けていく。
凛に撫でられた頭が熱い。
顔が火照ってる。
髪を褒められただけなのになんだか凄く嬉しかった。

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