そして君に恋をする

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最近ではあまり悪口も聞かなくなり、ってか永四郎と裕次郎がなんか睨みを利かせてくれているらしい。
そんなこんなで期限がもうすでに過ぎている図書の本を片手に廊下を歩く。
借りたは良いけど部活とか勉強とかで結局読まずに終わった手の中の本。
永四郎に面白いからと…ってか永四郎の面白いって私たちで言う難しいなんだけど…無理やり借りられさせられたのは記憶に新しい。
感想文書けとか言われたら嫌だなぁなんて思っていると不意に後ろから声をかけられた。
それになんだ?と振り返るとそこには1年生なんだろう、私よりちょっと背の低いウェーブがかった髪の毛の少女が立っていた。
あれまぁ……可愛らしい。
ふわふわした雰囲気をかもしだしているその子は再び「あの…」と口を開いた。
「あぁ、どうしたの?」
「図書館へはどう行けば良いんですか?」
ここではあまり聞かない標準語を話す彼女。
やっぱりちょっと訛りが入っているけれど可愛らしい。
「私も行くから一緒に行く?」
そんな彼女にそう聞くと控えめにありがとうございます、と返された。
彼女がが追いつくのを待って一緒に歩き出す。
少し香る程度の香水がその場の雰囲気を落ち着かせる。
「私2年の五十嵐楓って言うんだ」
「あ、私1年の鈴チカって言います」
そっか、チカちゃんね、と確認するように名前を呼ぶと少し照れたようにはい、と答えてくれた。

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