そして君に恋をする

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てっきり怒られるんだと思っていてゴメンなさい。と謝ろうとすれば思っても見なかった言葉をかけられ思わずそんな木手君にえ?と聞き返してしまった。
それに私を見やった木手君は、少しだけ私から視線を外すと右手の甲で左フレームを持ち上げた。
「ですから、マネージャーをやらないかと聞いているんですよ」
聞いてるって……さっき絶対語尾に疑問符がついてなかったよ。
そんな事を思いつつ予想もしていなかったそのお誘いに呆けていれば、そんな私を見やった木手君は嫌ならやらなくて良い。と言って正面を向いてしまった。
「えー!!永四郎あらんやっさー(違うだろ)!!あらんやっさーろ!!」
そう言ってフイ、と私から視線を逸らした木手君に、そんな木手君に代わり裕次郎君が私に詰め寄ってきた。
「永四郎はあぁ言ってっけどホントはヤーにやってほしいんやっさー。な?やるだばぁ?」
「甲斐君……ゴーヤー食わすよ?」
そう言ってな?な?っと聞いてくる裕次郎君に眉間に皺を寄せた木手君がそう言うと声を低くした。
でも裕次郎君はそんなことお構いなしに私に、やるだばぁ?と何回も聞いてくる。
それにやるだろ?な?っと私の顔を覗き込んでくる裕次郎君と木手君を交互に見やる。
正直言って……やりたい。
物凄く、やりたい………!
でも……なんか木手君はあまり乗り気じゃないみたいだし。
「………貴女の洞察力と行動力は認めますよ。マネージャーとしては申し分ないでしょうよ」
「やっても……良いの?」
「じょうとうやいびーん」
最後の抵抗なのかうちなーぐちでそう言った木手君はこの話は終わりだとでもいう様に前を向いてしまった。
未だに状況把握が出来ていない私に対して裕次郎君は両手を上げて「しちゃんー!!」と叫ぶとあがーっ!!と蹲った。
怪我してるのに手を上げるからだよ……。
そんな裕次郎君に苦笑しながらそっぽを向く木手君にありがとう、とお礼を言った。

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