そして君に恋をする

□9
1ページ/5ページ

朝、目が覚めて一気にテンションが下がった。
そう言えば昨日また木手君を怒らせちゃったんだよなぁ……。
このまま仮病でも使って休んでしまおうか?
そう重いながら布団に潜り込むとタイミングよく携帯が鳴った。
ディスプレイを見るとそこには『国光』の文字。
あいつ……エスパーか何かか?
「……はいたい」
『……ハイサイ…』
「はい、正解」
通話ボタンを押してそう開口一番に声をかければかなりの間を空けて国光から正しい返答が返ってきた。
ソレに流石国光、と笑えば受話器の向こうで溜息をつく声が聞こえた。
「どうしたの?」
朝っぱらから、と朝早くに電話をかけてきた国光にそう言葉を返せば、また少しだけ沈黙が落ちた。
「確かそっちは今日朝練じゃないよね?」
そう聞けばあぁ、と返ってくる言葉にじゃぁどうしたんだよ、と返せばこの間の件なんだが…、と声を漏らした国光にこの間?と小首を傾げてしまった。
『部活の件はどうなったか気になってな』
そう言葉を続けた国光に、グッと言葉を詰まらせた。
この御真面目様がっ……
こんな朝っぱらから部活の話すんなよ。
忘れかけていたその事にまたテンション下がってきてしまった。
『マネージャーの話は結局どうなったんだ?』
「あー、あれは無理ですね。うん、無理無理完全嫌われたって」
そう言葉を続けた国光にアハハと笑えな国光の呆れた声が聞こえた。
仕方ないだろ、だってつい手が動いちゃったんだもん。
「なんかねぇ、海坊主が監督やってた」
『口には気をつけろ。お前はすぐに暴言を吐く癖があるだろう』
早乙女晴美という禿親父のことを思い出してそう言葉にすれば間髪いれずに叱られる。
だってスミレちゃんとはえらい違いだったんだもん。
「部活の件は暫く保留になるかも」
そう言葉を返しつつ、さっきから下で『ご飯はー?!』と叫ぶ母さんにハァイ!と返してやっと布団から抜け出す。
『そうか、何かあったら連絡しろ』
それにそう言った国光に分かったと返せばすぐに切られた電話。
きっと受話器の向こう側にも母さんの声が聞こえていたんだろう、少し苦笑交じりの声だった国光に携帯を閉じた私は身支度を整えると一階へと降りていった。

次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ