そして君に恋をする

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海岸に着いて始まった練習にハタと目を瞬かせてしまう。
これって、テニスの練習って言うのかな?
そもそもこれって『練習』って言って良いのかな?
だって……割れたガラス瓶の上素足で歩いてるんだよ?
しかもなんかみんなそれが当たり前みたいに……。
さっきだってなんか鉛つけて海潜ってたし……。
これって……拷問なんじゃないの?
みんな凄い痛そうな顔してるし、怪我人が出てないほうが不思議なくらいだ。
そんな練習風景をハラハラしながら見ていると、海岸に着く前に紹介された部員の一人、2年の知念寛君が少しバランスを崩した。
でもそのあと何事もなかったようにまたガラス瓶の上を歩き始める。
「次ぃ!!縮地法で渡れ!!」
怒声にも近い監督の声に部員は威勢良く返事を返す。
『縮地法』の意味が分からなかったけどソレが始まってすぐに理解した。
物凄いスピードで、まるで瞬間移動したように前後に部員達が移動し始めた。
わけが分からない、どうなっているんだ?
これって本当にテニス部?
監督の「遅い!!」と言う声と同時に一人の部員が海に投げ込まれる。
「−−−ッ!!!?」
あまりにも酷過ぎる仕打ちに思わず足が動く。


   『それがわったーの方針です』


木手君に言われた言葉が脳裏を過ぎり、動きかけた足が止まってしまった。
どの学校も青学と一緒なわけないじゃない。
比嘉には比嘉の、青学には青学のやり方があるんだ……。
ここで私が口出ししたら、また木手君に怒られる。
そう自分に言い聞かせ今にも動きそうな足をその場に踏み留めた。

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