そして君に恋をする

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そして放課後がやってきた。
午後の授業はホント放課後が待ち遠しくてウキウキしっぱなし。
甲斐君はテニスバッグを肩にかけると木手君の所にやってきた。
「わんは先にいちゅんさぁ、永四郎はどうするんさぁ?」
「俺もすぐに行きますよ」
教科書を鞄に入れながら甲斐君の言葉に返事を返す木手君。
私も平古場君が来るまでに準備しておかなきゃ。
「楓は何部に入るんやっさー?」
ふと思い出したように私を見る甲斐君に私はんーと声を漏らす。
「ホントは女子テニス部に入りたいんだけど1年ブランクがあるからさ……」
ちょっと難しいかな、と答える。
元々青学でも初めは女テニに入ろうとしたんだけど当時の部長、大和さんが『マネージャーのほうが向いていますよ、きっとね』なんて言うから。
練習相手になってくれるって条件付で男テニのマネージャーを引き受けたんだ。
それがまさか2年になって引っ越すことになるなんて思わないだろう!
「やくとぅ男子テニス部のマネージャーやればじょうと「甲斐君、行きますよ」ウグッ」
甲斐君の言葉を遮り木手君は甲斐君の襟首を引っつかむ。
あぁ、この話題はタブーなんだろうな。
そのまま引きずられるようにして教室を出て行く甲斐君を見送ってから机の横にかけてあるテニスバッグを手に取る。
もしかしたら打たせてもらえるかもしれないしね、一応持っていこう
そんなことを考えていると教室の入り口で私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
振り向くとそこには平古場君の姿。
クラスの女の子が少しざわめく。
あぁ、ちょっと厄介かも。

「楓ー、迎えに来たさぁ、いかやー」

入り口の前で教室中に聞こえる声で私を呼ぶ平古場君。
私は鞄とテニスバッグを引っつかむと早足で平古場君のもとへ向かう。
あぁ、周りの視線が痛いよ……。
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