そして君に恋をする

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校内を歩いていてやっぱり周りからの視線がちょっと気になった。
なんだよ、ちょっと木手君と言い合いしただけじゃん。
そんなに珍しいのか……?
そんなことをブツブツと呟いていれば進行方向に人が立ちはだかった。
自然と足止めされる形になった私はなんだ?と目の前に立ったその人物を見上げた。
少しウェーブのかかった金髪頭に南国にしては白い肌を持つ男の子が目の前に立っていた。
わざわざ正面に立ったってことは私に何か用なのかな?

「あいひゃぁ、しぃるぅ(白い)肌やんやーやまとんちゅやんなぁしぃるぅのか?」

「え……は……?」
「裕次郎に聞いたさぁ、やー、永四郎に啖呵きったと?」
困惑する私のことなんかお構いなしに話し出す目の前の男子。
裕次郎、とか永四郎、とか言ってるあたりたぶんテニス部の人なんだろう。
ふしがらんさぁ(すげぇなぁ)
「ふ、ふし……?」
なんか珍獣でも見るように人の事を上から下まで見てくるこの男の子はいったいなんなんだ……?
「あぃ!わんは平古場凛やっさー、凛でじょうとうさぁ。ゆたしく」
「あ……、わ、私五十嵐楓です。よろしく……」
そう言って差し出された手に慌ててその手を握り返し自己紹介をする。
ブンブンと振られる手に、平古場君のその手の平が少し固いことに気がついた。
コレはきっとテニスマメだ
それも最近できたものじゃない。
何回も潰れて硬くなったもの。
「どうかしちゃん?」
挨拶を終えてもその手を離さない私に、平古場君は不思議そうにそんな私の顔を覗き込んできた。
それに平古場君と視線が合ってやっと握っていた手を離す。
「いや……、マメが凄いなって思って」
「あぃ?あぁ……美らさんあんに(綺麗じゃねぇだろ)
そう言った私に自分の掌へと視線を落とした平古場君は苦笑する。
なんて言ったのか分からなくて小首をかしげる私に平古場君は再びその顔に苦笑を浮かべた。
「あぁ、でもね凄くテニス頑張ってるんだなぁって思った。だってそれ、古いでしょ?」
大石とかも良くマメが潰れてたけど平古場君ほどじゃなかった。
国光は……まぁ、あいつはテニス馬鹿だからな。ホント良く頑張るなと思う。
そう言った私に平古場君は一瞬呆けた顔をしたあとニッコリと笑った。
「やーはテニスに興味はあるんばぁ?」
「へ?うん、前はテニス部マネージャーだったし……」
そう言った平古場君に言葉を返してちょっとテンションが下がってしまう。
木手君とのこと思い出しちゃったよ……。
「やたん今日部活を見学しにちゅーさ」
「へ?良いの?」
平古場君の言葉に俯いていた顔を上げればポンポン、と頭を撫でられる。
「じょうとうじょうとう、放課後迎えにちゅーさぁ」
そう言うと手をヒラヒラと振りその場を去っていく平古場君。
あ、誘ってくれたことにお礼を言うのを忘れてしまった……。
放課後彼が来たらちゃんとお礼を言っておこう。
比嘉中のテニス部ってどんな感じなんだろう
やっぱ青学と同じで部長さん厳しいかな?
顧問の人ってどんなのかなぁ?
どんな練習するんだろう?
放課後が楽しみだなぁ!

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