純愛讃歌

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「母さんただいまー!」
「チチさん見て!!悟飯君と一緒にお魚獲ってきた!」
二人で抱えるように巨大な魚を持って家へと帰ってきたブラックサンダーと悟飯。
そんな二人を出迎えたチチはどこか疲れ顔で、でもそんな二人を見やると顔に笑みを浮かべた。
「悟飯ちゃん、ブラックサンダーさお帰りなさい」
そう言ったチチの声はやはりどこか疲れていて顔を見合わせた二人は取りあえず、と獲ってきた魚をテーブルの上にドン!と置く。
「腹減ったなー!!チチ!風呂沸いてるか?悟飯!一緒に風呂入るか!」
「はい!」
あとから家に上がってきた悟空に、そう言った悟空と一緒に服を脱ぎ始めた悟飯を見やり取りあえず手を洗ってこよう、と台所へ歩きだしたブラックサンダーは震えるチチの肩を見やると歩みを止めた。
「チチさん?どうし……」

「いい加減にしてけろっ!!!!」

拳を握りしめて震えるチチに、声をかけようとしたブラックサンダーはそう声を荒げてテーブルを叩いたチチにビクリと肩を震わせた。
それに腰にタオルを巻いて風呂へと行こうとしていた悟空も悟飯もキョトリ、とチチを振り返る。
どこか涙ぐんだ目で悟飯と悟空を睨みつけるチチに、どうしたんだろう…、と木へと寄りかかるピッコロへSOSを送ったブラックサンダー。
ピッコロもまた急に声を荒げたチチに少しばかり面を喰らっているようで、呆けたようにそんなチチを見つめていた。
「毎日毎日修行修行で!!悟飯ちゃんにちぃっとも勉強もさせねぇで!!オラ、今日イノシシに追いかけられたんだべ?!!」
そう言って再びテーブルを叩いたチチに、イノシシ…と声を漏らしたブラックサンダーはこの近くの森に住む大イノシシを思い出すとマジか…、と顔を引きつらせた。
そう言えばテーブルに置いてある買い物袋も、チチも、泥だらけだ。と眉を吊り上げて拳を握りしめるチチを見やったブラックサンダーは悟空を睨みつけるチチに同じように悟空へと視線を向けた。

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