純愛讃歌

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「ブラックサンダーっ……、やめろと言うのが分からんのかっ!!」
「ピコさんの弱点はっけーん!」
そう言ってひどく苦しそうに声を漏らしたピッコロに、ンフフ♪と笑ったブラックサンダーはそう言うとやっと口笛を吹くのをやめた。
音の止んだソレに、小さく息をついたピッコロは上空で楽しげに笑うブラックサンダーを見上げると憎々しそうに眉を顰めた。
「調子に乗るなよ、阿呆弟子が……!!」
「っ!!!」
瞬間伸びてきた腕に、反応するのが遅くれたブラックサンダーはガシリ、と足を掴まれる。
そのままピッコロの元へと引き寄せられたブラックサンダーはそのまま地面へと押し付けられると息を詰まらせた。
「っ、ゲホッ!!なにすっ……!!」
抗議の声を上げようと自分を押さえつけるピッコロを見上げたブラックサンダーは塞がれた口に、口元を狂気に歪ませたピッコロを見やると冷や汗を流した。
「俺様の弱点が……なんだって?」
「んーっ!!んー、んーっ!!」
そう言って凶悪な笑みを浮かべた師匠に、ブラックサンダーは必死で手足をバタつかせた。
なんとか自分の下から脱け出そうとするブラックサンダーに、その上へと跨ったピッコロは徐にガラス板を出現させる。
殴られると思っていたブラックサンダーは意外な物を出したピッコロに暴れるのも忘れて呆けたようにそんなピッコロを見やった。
「さぁ、とくと味わうが良い」

 −−−ギ ギ ギ〜〜〜!!

「ッ!!!?ン゛ー、ン゛ン゛ッ!!」
そう言ってガラス板をその長い爪で引っ掻いたピッコロに、ブラックサンダーは背中を這った言い様のない感覚に再び手足をバタつかせた。
「さぁ、どうした?謝るなら許してやるぞ」
そう言って再びギギギッ、とガラス板を引っ掻いたピッコロに堪らず耳を手で押さえたブラックサンダーはコクコクと首を縦に振った。
「ぷはっ!!!ご、ごめんなさい!!調子に乗りましたっ!!」
解放された口に、目尻に涙を溜めたブラックサンダーはひどく楽しげに自分を見下ろすピッコロにそう声を上げた。
ソレにやっとブラックサンダーの上から退いたピッコロは鬼…、と小さく零したブラックサンダーの手を掴むと荒々しくブラックサンダーを引っ張り上げた。
「今後一切口笛は吹くな。良いな?」
「は、はい……」
ギロリ、と睨んだピッコロに小さく肩をすくませたブラックサンダーは未だゾクゾクとする背中に両腕をさすると溜息を吐きだした。

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