純愛讃歌

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「〜〜♪〜♪〜〜〜♪」
帰りの道を歩くブラックサンダーはやはり上機嫌で、フンフン♪と口笛を鳴らすと手にしていた木の実を口へと放り込んだ。
「……ん?」
モグモグと口を動かしていたブラックサンダーは、どこかで聞こえたグァ!と言う声に不思議そうに森を見渡した。
けれども周りには誰もおらず、それに小首を返したブラックサンダーは再び口笛を鳴らす。
「ウガァッ……!!」
「…………ピッコロさん?」
今度ははっきりと聞こえたその声に、辺りを見回したブラックサンダーは微かに揺れるピッコロの気に怪訝そうに眉を顰めた。
普段気持ちの悪いぐらい落ちついているピッコロの気が乱れていることに、小さく首を捻ったブラックサンダーは何かに気付いたんだろう、パッと顔を輝かせた。
「〜〜〜♪〜〜♪」
「グァァァッ!!!」
ピーピー、と鳴らした口笛に反応するように呻き声を漏らしたピッコロに、ブラックサンダーはやっぱり、と声を漏らすとニンマリと笑みを浮かべた。
「〜♪〜♪〜〜♪」
「っ、やめんか馬鹿者っ!!!」
鳴り続ける笛の音に耐えきれなくなったのか木の上から姿を現したピッコロは堪らずブラックサンダーの口を手で押さえた。
冷や汗を流し、肩で息をするピッコロに、ブラックサンダーはふふ、と笑うとピッコロの手をどかす。
「シショー、口笛、嫌いなんですかー?」
「だったらなんだ……」
そう、ニヤニヤと笑みを浮かべ自分の顔を覗き込んだブラックサンダーに、ピッコロは小さく舌打ちを零すとブラックサンダーから視線を逸らした。
そんなピッコロを見やりひどく楽しげに笑みを浮かべたブラックサンダーはふふ、と笑うと一気に空へと上昇した。
「〜〜〜♪〜〜♪」
「ア、グッ……!!や、やめろ……馬鹿者がっ!!」
背中を走った言い様のない気持ち悪さに、堪らず耳を塞いだピッコロは、それでもまだ頭に響くその音に、堪らず地面へと蹲った。

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