純愛讃歌

□12
5ページ/7ページ

攻撃を仕掛けてはガードに回り、を繰り返していた悟飯とブラックサンダーは一旦間合いを取ると構えを取りなおした。
「いやぁ……やっぱ悟飯君は強いねー」
「ブラックサンダーちゃんも、ビックリするくらい気のコントロールが上手くなりましたね」
そう言って肩で息をした二人はお互いを見やるとハハ、とどこか楽しそうに笑みを浮かべた。
再び攻撃態勢に入った悟飯に、ブラックサンダーはふと離れた位置から自分を見やるピッコロへ視線を向けると小さく苦笑を洩らした。
少しだけ、眉間に皺を寄せるピッコロに、ブラックサンダーは仕方ないなぁ、と声を漏らすと構えを解いてしまう。
「ブラックサンダーちゃん……?」
攻撃に移ろうとしていた悟飯は、構えをやめたブラックサンダーに同じように構えを解くと不思議そうにそんなブラックサンダーを見やった。
「ちょっと本気で行かないと無理っぽい」
そう言って着ていたマントを脱ぎ始めたブラックサンダーに、キョトリと瞬きをした悟飯はボス、と地面に落ちたソレを見やるとえ…?と声を漏らした。
次いで手首に着けていたバンドも外したブラックサンダーにボテ、ボテ、と重苦しい音を立てたソレに悟飯はいよいよその顔に冷や汗を浮かべた。
「もしかして……重し着けて戦ってました……?」
「いやぁ、師匠がコレぐらいしないと悟飯君に勝てないぞ、って言うから」
鬼だよねー、全く。と軽くなった体に首を回したブラックサンダーはふぅ、と一息つくと再び構えを取った。
「それじゃぁ………

行くよっ!!」

「ッ!!!?」
先ほどとは比べ物にならないスピードで自分へと突っ込んできたブラックサンダーに、一瞬反応を遅らせた悟飯はブラックサンダーの攻撃をもろに受けた。
大きく後方へと吹っ飛ばされた悟飯に、追い打ちをかけるように額に指を当てたブラックサンダーは瞬時に指先に気を溜めた。
「魔貫光殺砲!!!」
「っ、魔閃光!!」
ガウン!!と相殺されたソレに小さく舌打ちを零したブラックサンダーは後ろへ大きく飛び退いて悟飯から距離を取ると腰に両手を構えた。
それに慌てて態勢を直した悟飯も腰に両手を構える。

「「かぁめぇはぁめぇ………

波ぁっ!!!!」」

同時に発射された気弾に、ぶつかりあったそれは一瞬形を歪ませると大きな爆発を起こした。
爆風で巻き起こった砂煙で覆われた視界に悟飯はしまった、と辺りを見回した。
一瞬で消えたブラックサンダーの気に、構えを取って周囲を見回していた悟飯は頭上から感じたブラックサンダーの気に慌てたように上空を見上げた。
「魔空連弾!!!」
「わっ、わっ、わ!!!」
次々とブラックサンダーの手から放たれる気弾に、それを寸でのところで避けて上空へと飛び上がった悟飯は小さく舌打ちを零したブラックサンダーに冷や汗を流した。
「べ、別人みたいだ……」
出来るわけがないと言っていた気功波も、舞空術も完ぺきに使いこなしているブラックサンダーに悟飯はそんなブラックサンダーを見やると目つきを鋭くさせた。
「本気で行かないと、負けちゃうかもな」
そう言って気を増幅させた悟飯に、ピクリ、と眉を動かしたブラックサンダーもそれに対抗するように一気に気を解放させた。
ゴウゴウとうねりを上げる大地に、ブラックサンダーと悟飯の戦いを見ていた悟空は小さく目を見張った。
「ブラックサンダーのヤツ、まだ気を押さえてやがったんか……!」
そう驚きの声を上げた悟空に、悟飯と対等か、少し少ないぐらいのブラックサンダーの気にジッと悟飯とブラックサンダーを見上げるピッコロ。
暫く睨み合っていた二人はどちらともなく動きだすと拳を突き出した。
ドゥン!!と大気を震わせた拳に、ふっ、と笑みを浮かべた二人は再び間合いを取った。
「強くなりましたね、ブラックサンダーちゃん」
「この一年、ピッコロさんにしごかれてきたからね」
そう言って腰に手を当てた悟飯に、ふふ、と笑って同じように腰に手を当てたブラックサンダー。

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ