そして君に恋をする

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なかなか英二は離してくれなくてやっと英二から解放されたときにはもう4試合もやっていた。
英二もちょっとスタミナ切れのようで息を切らしていた。
そんな英二に飲み物を渡して再びベンチに腰掛ける。
そう言えば裕次郎に謝っとかなきゃと思い携帯を開くと2通メールが来ていた。

『Frm:チィネ
 Sub:裕次郎がご乱心!
 本文:
 楓ー!へーくけぇるさぁ!!裕次郎がそっちにいちゅん前に!!』

わけの分からない文章と共に添付されていた写真を見る。
そこにはタニシと凛で大きな荷物を持った裕次郎を引き止めている姿が写っていた。
楽しそうだなぁ、なんて他人事のように思いながらもう一つのメールを見る。

『Frm:タニシ
 Sub:召されたさぁ
 本文:
 木手のとばっちりはごめんさぁ。
 身がもたんばぁ……』

何が召されたんだと思いながら添付写真を見ると多分ゴーヤーで気絶したんだろう裕次郎を半分キレ気味の永四郎が背負っていた。
あぁ、召されたって裕次郎のことね。

『To:タニシ
 Sub:大変そうだねぇ
 本文:
 永四郎に私が戻るまで禿ないでねw
 って伝えといてw』

そう打って返信したら何故か悪寒がした。
まさか本当にそう伝えたんじゃないだろうな……?
そう思いながら携帯を閉じると国光が隣に腰掛けた。
どうやら国光も息抜きにきたらしい。
「大分向こうの生活に慣れたみたいだな」
さっきの私と裕次郎の会話を聞いていたんだろう、少し安心した表情で国光が言った。
うん、と答えると私は持っていた携帯に視線を落とす。
最初は東京に帰りたいって気持ちでいっぱいだったのにな……。
今は裕次郎達がいて当たり前の生活になってる……。
「お前が俺と菊丸以外を名前で呼ぶなんて珍しいな」
そう言えばそうだな。
私は殆どが苗字呼びで定着させるタイプだからな……。
今では違和感なんて全然ないのに。
そうだねぇ、なんて笑って返したら少しだけ苦笑いされた。
「………恋の方は、どうなったんだ……?」
「あー……、あれね。フラれたよ」
少し言いにくそうに聞いてきた国光に苦笑する。
そういや結果報告はしてなかったんだったなぁ……。
「そうか……。さっき電話で話してた『ユウジロウ』か?」
「は?!裕次郎は違う違う」
あまりにも的外れな言葉に思わず笑ってしまった。なのに国光はだろうな、と言っただけだった。

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