そして君に恋をする

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体力の有り余っている男共はさっさと次の相手と試合を始める。
私はちょっと休憩、なんて言って皆の輪から抜け出す。
ベンチに腰掛けて一息つくとタイミングよく携帯が振動する。
ポケットから携帯を取り出して画面を確認すると裕次郎からの電話だった。
「もしもーし」
『はいさい!楓!ちゃがんさぁ(元気か)?』
「はいたい、裕次郎。ちゃがんさぁ。ぃやーは?」
そう聞いた私にじょうとうじょうとう!と返事が返ってくる。
元気良いなぁなんて思いながら受話器から聞こえる裕次郎の声を聞く。
後ろがガヤガヤと騒がしいってことは皆そこにいるのかな?
はいさーい、とかちゃがんさぁ?なんて声が聞こえてくる。
ぬーがらあいびーたんの(何かあったの)?」
『なんも、ただちゃがんでやっちょるかねぇって思ってよー』
そういや今日は部活休みの日だったな。
皆集まってるってことは勉強会かなんかかな?特にタニシと裕次郎のための。
「今ね東京の友達とテニスしてるの」
『ゆたさんさぁ……』
落胆気味の裕次郎の声に笑いが漏れる。
きっと勉強で疲れてきたんだろう。
「裕次郎は勉強ちばりょー」
『あいひゃぁ……エーシローが厳しいんだよ……』
受話器の向こうでも想像できる。
多分永四郎があーでもないこーでもないと悪戦苦闘しながら裕次郎に数学教えてるんだろうな。
そう思うと笑えてくる。
「まぁ私もちばらなきゃねぇ、裕次郎に負けたくな「楓ー!!俺ともテニスしよーよ!」うっわ、エージ危ない!」
春休み開けのテストでジュース1本賭けてるからな。なんて思っていたら英二が後ろから飛びついてきた。
危うく携帯を落としそうになって慌ててキャッチする。
『楓ー?ちゃーさびたが?』
「わっさん、ちょっと今「楓!電話は後でもいいじゃん、ほら、俺とテニスー!」あー、裕次郎!またあとでかけるから!あんしぇやー(またね)!」
受話器の向こうで裕次郎が何か言っていたが英二に携帯を取られ通話終了。
ほらほら、と手を引く英二にラケットを手に取りテニスコートに入る。

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