金色猫とタンゴ

□17
8ページ/8ページ

「マルコ、今日はありがと……。誰かとお墓参りするの久しぶりだったから、ちょっと嬉しかった」
「俺で良けりゃいつでも付き合ってやるよぃ」
タタン、タタン、と一定のリズムを刻む電車に、窓の外へと視線を投げたままそう自分へと声をかけた幸に、何かを思い耽るよう窓の外を眺める幸の横顔を見やったマルコは、そう言葉を返すとゆるり、とそんな幸の頭を撫でやった。
それに窓の外から自分へと視線を向けた幸はやはりどこか寂しげな表情を浮かべており、もう一度小さく零されたありがとう、の言葉を聞いたマルコはギュッと締めつけられた心臓に気づかぬフリをしてその顔に笑みを浮かべてみせた。
「家ぇ帰ったら温けぇモンでも食おうかねぃ」
「じゃーキムチ鍋作ったげる。その前にスーパー寄って買い物しなきゃ」
そうかけた声に、マルコん家何もないし!と笑みを浮かべた幸はもう普段通りで、そんな幸に悪かったな、と少し不貞腐れたように言葉を返したマルコは、笑みを浮かべる幸を見やると同じようにハハ、と笑みを零したのだった。



ペチュニア=心の安らぎ


次の章へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ