そして君に恋をする
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暫くして、すすり泣きに変わったと思ったらピタリと声が聞こえなくなった。
「…楓…?あぁ、寝たのか」
顔を覗き込んで見ると楓は泣きつかれたのか寝息を立てていた。
肩から膝へと頭を下ろしてやり寝やすい格好にさせる。
涙の跡を拭ってやり起こさないように携帯を取り出す。
宛先を永四郎にして本文を打つ。
『To:エーシロー
Sub:わっさん
本文:
午前の授業ワンと楓はゆくるから頼むさぁ』
送信してすぐ永四郎から返信が来た。
『Frm:エーシロー
Sub:Re:わっさん
本文:
二人ともあとでゴーヤー食わすよ』
あいひゃぁ、やっぱ永四郎は厳しいなぁ……。
『To:エーシロー
Sub:了解
本文:
しが、楓は許してやって。ワンが二人分食うから』
苦笑しながら返信すると、再びメールが返って来る。
『Frm:エーシロー
Sub:
本文:
今回だけ見逃しますよ。二人共』
授業中にも関わらずすぐに返信が来たって事はそれなりに永四郎も心配してくれてたんだろう。
そんな永四郎のメールに心の中で礼を言うと携帯をしまった。
見上げた空はどこまでも青く。
膝に感じる楓の重みが心地よかった。
なのにこいつの中に俺は少しもいないと思っただけで、少しだけ、胸が苦しかった。
「好きだぜ……、楓」
寝ているときにしか言えない自分が凄く情けなかった。
いつか……ちゃんとぃやーが起きてるときに伝えたい……。