Dream

□Christmas Eveeve
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「あ、赤葦くんっ!」










HRを終え、すぐに教室を後にする赤葦くんを何とか引き留める。










「なに?」
「24日って、なにか予定ある?」










彼の顔を見ることができず、窓の外とかネクタイの結び目とか、色々なところに視線を移してなんとか話を進める。










「部活…15時くらいに終わるかな」
「クラスでクリスマスやろうって、話してて!来られる人だけだけどっ!」
「あぁ、そうなんだ」
「だから、よかったら来て」










言った!
赤葦くんへの伝達を任されたわたしは、その任務を全うするのに1週間を要した。










「ていうか」
「え?」
「24日って明日だけどね」










わたしのばかっ!
恥ずかしいとか、緊張するとか、そんなしょうもないことで赤葦くんへの伝達を遅らせて、挙げ句の果てには前日に伝えるってどういうこと!










「ご、ごめんなさい!」
「明日はもうバレー部で約束してるんだ」










クリスマスなんだから予定があるに決まってるよね。
わたしがモタモタしてたから、明日の集まりに赤葦くんは来ない。










「明後日」
「え?」
「明後日なら空いてるから」










明後日?
クラスで集まるのは、24日の明日で決定してるんだけど…。
わたしは赤葦くんの言わんとすることがわからず、今日初めて彼の目をじっと見つめた。










「どこか出かけない?」










わたしにかけられたのは、予想もしない一言だった。










「…」
「あの」
「…」
「みょうじさん?」










赤葦くん、今なんて…?










「みょうじさんがよければだけど」
「あの」
「…無理なら断ってくれて大丈夫だけど」
「いいいい行きます!」










赤葦くんが

いっしょに

でかけようって

誘ってくれてる?










「な、なんで?」
「え?なんでって…」



赤葦くんは、口元を隠して目を逸らす。



「それは…明後日言うよ」
「あ、赤葦くん」
「な、なに?」
「あの…う、嬉しい。明後日楽しみにしてるね!」



遥か頭上にある赤葦くんの顔を見上げてそう言えば、彼は小さく微笑んで私の頭に手を置いた。
その後すぐにハッとした顔で、手を回収すると、じゃあ部活に…と足早に消えて行く。



「…」



一瞬触れた赤葦くんの手が、目が、優しくて、胸がキュッと締めつけられた。
あぁ、やっぱり好きだな。
わたしは赤葦くんの特別になりたい。



明後日、
告白しよう。



(2014.12.18)

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