公安課
□ALISON
1ページ/2ページ
郊外の小高い丘に車を止めて、助手席にいる彼女を見つめると、綾は俺を見つめ返して微笑んだ。
「運転お疲れ様です、後藤さん」
「いや・・・」
こうして逢うのは10日振りだ。
次に逢った時に話そうと思っていた事が零れていき、うまく言葉にならない。
車の外へと促し、人気のない公園を歩いた。
「寒くないか?」
「大丈夫ですよ・・・」
立ち止まった綾は「わぁっ!」嬉しそうに声を上げて俺を見上げた。
「ここですね、後藤さんが見せたいって言っていた場所は」
「あぁ」
「すっごく綺麗です!今まで見た景色で一番です!!」
足元に広がるキラキラと広がるイルミネーション。それと車のライトが季節外れの天の川のようにも見える。
「・・・後藤さん?」
「ん?」
「何だか今日、口数が少ないような気がして・・・」
大きな瞳に心配そうな色が落ちる。
いけない、らしくもなく緊張しているのかもしれないな。
そんな自分がおかしくて、思わず目を閉じて小さく息を吐いた。
「・・・悪い・・・ちょっと緊張しているようだ」
「え・・・?」
何の事か判らないと言った様に小首を傾げる綾をコートの中へと引き寄せて、後ろから抱き締める。
長い髪を纏めて、耳元に口付ける。
「・・・っ」
驚いて小さく声を上げた綾の首に、そっとネックレスを付けた。細い鎖でうまく付けられるか内心冷や冷やしたのだが、うまく取り付けられてほっとした。
ピンクゴールドで雫をモチーフにしたものだ。優しい色合いと柔らかな形が彼女に似合うと思ったのだが・・・
「・・・後藤さん・・・」
それに気付いた綾は「ありがとうございます」と声を震わせた。
「本当に嬉しい・・・ず〜〜〜っと大切にしますね」
「・・・気に入ってもらえたのか?」
「勿論です!後藤さん、今日は喜ばせすぎです!」
夜風で少し冷えた顎に手をかけて、そっと口付ける。
「Merry Christmas」
と、囁きながら。
2014.12.24UP