公安課

□最愛
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今日はみどりやゼミの友達との久しぶりの女子会で盛り上がった。

友達とこうして飲んだり色々話したりっていうのも久々だったせいかもしれないけど・・・

話のメインはそれぞれの彼の話で、のろけ話だったり、ちょっと愚痴めいたり、それから・・・ちょっと込み入った『女子だけの』話だったり・・・成程なぁと関心を示しながら話を聞いていたものだった。

みどり達と別れ、ちょっとほろ酔い気分で駅へ向かう途中、彼を・・・見かけた。



仕事中なのかもしれないと思い、信号待ちをしながら努めてさり気なく、もう一度彼の姿を確認した。


勿論、見間違う筈はない。私が確認したかったのは・・・


隣にいた女性と、彼の表情だった。


穏やかな表情でとても親しそうに話をしながら、道路を挟んだ向こう側を歩いている。
隣にいる女の人は、背の高い彼と釣合の取れた、すらりとした知的で美しくて、何ていうか私が逆立ちしても敵いそうもない独特な雰囲気のある人だった。



どうしよう・・・





ここに、居たくない。


ただ苦しくて、とても苦しくて・・・でも、駅まで走っていく気力は夜に吸い取られ・・・


タクシーに乗り込み、逃げる様にアパートへ戻った。



その後、よく覚えていないけど・・・気が付くと化粧を落として、シャワーを浴びて、ベッドに潜り込んでいた。
あぁ、何も考えていなくても、身体が勝手に動くんだなぁと、変な所で関心しながらも口から零れるのは重々しい溜息だけで、何度寝返りを打っても一向に眠気は訪れない。



とても不安でたまらなくて、さっきまで立っていた場所が薄氷の様にいとも簡単に壊れてしまったみたいで・・・

確かなものなんて、まるでどこにもなかったかのような錯覚に陥りそうになってしまう。


ただ、不思議な事に彼が他の女の人と付き合っているのだとは、ただの1_も思っていない。



彼じゃなくて『彼女』だ。



彼女と自分を比較して、卑屈になっている。


一つ何かを思い浮かべる度に、自分の中にどす黒くてもやもやしたものが泉の様にふつふつと湧き出ているようで・・・



ダメ!!

もっと冷静にならないと・・・ちゃんと、真実を確かめないと。勝手に悪い方へ想像を巡らせるのは相手にも失礼だ。


だけど・・・





不意に、携帯が鳴った。


心臓が・・・飛び出てしまうかと思った。


この着信音は・・・彼だ。


                      
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