鬼灯の冷徹の世界〜日常〜

□すれ違い…
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〜〜〜閻魔殿〜〜〜


えぇ〜ただいま、閻魔大王にお孫様の話を聞かされています。



 めぐみ     「あっ、もう行かなきゃ時間が…」


 閻魔      「えっ?お昼休みだよ、今?(それに、いつもさぼってるのになぁ)」


 めぐみ     「阿鼻地獄に、かほちが忘れた世界の拷問の資料を、届けに行くんです」


 閻魔      「なにそれ!?世界の拷問!?」


 めぐみ     「えぇ…世界中の拷問の中でも、かなり苦しく、辛いとされているものを、かほちが調べてまとめたんですよ?」


 閻魔      「すごいねぇ…あのこ…阿鼻地獄の獄卒が板につき過ぎじゃない?」


 めぐみ     「それ、私も思ってますよ?じゃあ、もう行きますね」


 閻魔      「うん、あっ…!早く行けば鬼灯君に、会えると思うよ?」


 めぐみ     「えっ、阿鼻地獄に鬼灯様が?」


 閻魔      「うん!視察にいってるはずだよ」


 めぐみ     「すぐ行ってきます!」


 閻魔      「(めぐみちゃん…鬼灯君のことすきなんだろうね…)」




閻魔、マジで…孫の話なげぇな…キツイな…早く資料届けなきゃ!


まぁ本当のことを言うと鬼灯様に会いたいだけなんだけどね?






 めぐみ     「鬼灯様どこだろ?」





阿鼻地獄に到着しました〜!だが、鬼灯様が見当たらない!どこにいるんだ?





 亡者      「やったぜっ!」


 めぐみ     「えっ?」







次の瞬間、私の腰にあったはずの鎖鎌が亡者の手に握られているのが分かった。鞭に急いで手をやるが、鎌を振り下ろす方がきっと早いだろう。





 亡者      「死ねっ!」


 めぐみ     「うっ!!」


 亡者      「グハァッ!?」



とっさに目をつぶって、身構えたが、何故か亡者の苦しそうな声が聞こえた。目を開けてみると苦しむ亡者と、見覚えのある金棒…この金棒は…!




 鬼灯      「大丈夫ですか!?」


 めぐみ     「鬼灯様…?だ、大丈夫です」




安心感でその場にへたり込んでしまった。そして鬼灯様は、私に怪我ない事を確認すると一気に顔色を曇らせた。




 鬼灯様     「あなた…何をしようとしたか分ってるんですよねぇ…」


 亡者      「ひ、ひぃ!」






鳴り響く鈍い音、亡者の返り血を浴びながらもなお、殴ることをやめない鬼灯様。表情は今まで見たことがないほど、怒りに満ち満ちた顔だ… 普通に怖い…亡者は既に原型を留めていない…さすがに、かわいそうになってきた…





 鬼灯      「かわいそう?何をいってるんですか…?」





心の声が思わず出てしまった。鬼灯様はとても怖い顔で、私の方へ振り返る。



 鬼灯      「 あなたは反省してるんですか…?」


 亡者      「 ひゃあああああああ!!」




鬼灯様の意識が私にそれた瞬間に、今だ!と言わんばかりに走って逃げる亡者。鬼灯様も亡者を見ることなく、私を射殺すような眼差しで見ている。



 
 鬼灯      「で、どうなんですか…反省しているんですか?」


 めぐみ     「すいません、亡者に襲われそうになるなんて、獄卒失格ですよね…」


 鬼灯      「あなた、何もわかってないんですね。」


 めぐみ     「えっ…」


 鬼灯      「もういいです。」




そういって、飽きれたような顔をしながら、私から離れていく鬼灯様。振り返ることなく、だんだん姿が小さくなっていく。






 めぐみ     「きらわれちゃったかな…」





これから鬼灯様に会った時にどんな顔をすればいいのだろうか?






 カホチ     「めぐ?一人で何してるの?もうすぐ、お昼だよ♪」





かほちが、私に気が付き駆け寄ってきた。




 めぐみ     「う、うん…これ頼まれてた資料…」


 カホチ     「うん、ありがとう どうした?なんかあった?いつでも相談にのるよ?」




なんだと…あのミス鈍感であるかほちに気付かれるなんて…不覚だ…




 めぐみ     「ううん 大丈夫だよ?お昼行こっか?」


 カホチ     「うん、そうだね!」




かほちは、いつも通りに接しようとしてくれているようだった。初めてかほちを優しいと思った。



〜〜〜食堂〜〜〜


 トミー     「おぉ!遅かったね〜二人とも〜」


 めぐみ     「うん、ごめんよ〜ってそれなに?」


 トミー     「クッキーだけど?」


 カホチ     「えっ?トミーがクッキー作ったの??」


 トミー     「カホチとめぐっちゃんどうぞ!」


 カホチ     「うちいいわ、やめとくわ」


 めぐみ     「えっ?なんで〜もったいない じゃあ、うちがいただきます。」

 
 トミー     「どう?おいしい?」


 めぐみ     「うっ!なにこの味!まずっ!」



 トミー     「 当たり前だよ〜毒入りクッキーだから…」




はっ?こいつ…今…なんて?毒!?何考えてんのぉぉぉぉ!?




 カホチ     「やっぱりか、おかしいと思ったんだよ…!」


 めぐみ     「えっっと?ちょっと待って、かほち!?気が付いてたのに、止めてくれなかったの!?なんでだよ!」


 カホチ     「面白そうだったからけど?」


 トミー     「面白そうだからでしょ?」




二人とも…人間性に問題がある発言だよ…それ…!



 めぐみ     「お前ら、声揃えてなんていうこと言ってんだ!カホチをやさしいと思ったやつ、無しにして!」


 カホチ     「なんだそれ?wwwそれより、どう?調子は?」


 めぐみ     「そうだ!毒!!あっ…ヤバい、全身が痺れてきたんだけど…」




あぁ…こんなことで私は死ぬのか?こんなところで!




 トミー     「成功だ!やったね〜!」




不安にかられる私を尻目に、大喜びのトミー…悪魔だ…




 めぐみ     「やったじゃ…ねぇ…よ」
 

 カホチ     「あ、気絶しちゃったよ?」


 トミー     「うん、まぁでも死なない程度だし!一時間もすれば、起きれるようになるし!大丈夫だよ!」


 カホチ     「そっかぁ!じゃあ、置いていくか!」


 トミー     「うん!」


〜〜〜一時間後〜〜〜

 めぐみ     「う、う〜ん…」


 ???     「起きて…ちゃん…」


 めぐみ     「う、頭痛いっ!あっお香さん!」


 お香      「こんなとこで、寝てたら風邪ひちゃうわよ?」




どっかの誰かさんのせいで、お香さんにまで迷惑をかけてしまった。




 めぐみ     「あっ…すいません。」


 お香      「何かあったの?様子がおかしいけど?」


 めぐみ     「いぇ…まぁ…」




私の様子がおかしいのは、毒を飲まされたのと鬼灯様の事があってなのだが…



 お香      「相談に乗るわよ?


 めぐみ     「お、お香さん!!」




お香さんの優しさに、泣きそうになる。だが、毒と鬼灯様のこと…どっちの話をすればいいのだろうか…よく分かんないから、両方とも相談に乗ってもらおう!そうしよう!




 お香      「ど、毒の事は置いといて、鬼灯様のほうは、何とかなりそうね…?」




さすがのお香さんでも、毒の方は専門外ですよねぇ…しかも、ちょっと引いてるし!でも、鬼灯様の方は何とかなるものなのか?




 めぐみ     「えっ、そう思いますか…?鬼灯様とっても怒っていらしゃったので、無理じゃないですか?」

 
 お香      「めぐみちゃん、なんで、鬼灯様が怒ったと思う?」


 めぐみ     「えっ?それは亡者に武器を取られるなんて失態をしたからじゃないんですか…?」


 お香      「違うと思うわよ?鬼灯様は、そんなことでは怒らないと思うわ」


 めぐみ     「そうなんですか?じゃあ、なんでですか?」


 お香      「本人から、聞いた方がいいと思うわよ(にこっ)」



お香さんは笑顔でいうけども、それが出来たら楽なんですよ?




 めぐみ     「そ、そうですか?はぁ、がんばります…」


 お香      「うん、がんばってねぇ〜じゃあね〜」




まず分かったのは、毒は解決しそうにないこと!でも、鬼灯様のほうは、少し気が楽になったかもしれない!



 鬼灯      「あっ…」




振り返ってみると、すぐ近くに鬼灯様。う、嘘だろ…会っちゃったよ!?き、聞かなきゃ、でも、今は無理!



 鬼灯      「あの…」




思わず走り出してしまった。せっかく鬼灯様が話しかけてくれたのに…なんて言われるか怖くて…





 めぐみ     「あぁ、話しかけられたのに、怖くて逃げちゃったよ…どうしよう…」




―――あやまりたいのに、あなたに話しかけたいのに、どうしたらいいの?―――
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