ばらかもんたんぺん
□夏だ!!!海だ!!!其の2
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「ところで」
海に向かう途中、美和が私の大荷物を見てそう言った。
「レイ姉それなんじょっと?」
くると思っていたその質問。ただ返すのが面倒になる。
「あー、まあ色々」
言えば胡散臭そうに眉をひそめる美和。タマは何と無く察しがついたようだ。
「にしても……ここの海、いつぶりだっけか?」
吹き付ける潮風を嗅ぎながらそうつぶやいた。
「多分レイ姉が高校の時俺と行ったので最後だと思う」
ヒロシがそう言うので、記憶を辿ってみる。確かにそうだったかもしれなくもない。
「あの時のヒロシは確か十二歳くらい……」
「まじか。どんなやつだった?」
清が食いついてきた。どんなやつだったと聞かれてもなあ。
「うーん……極々一般的な田舎の良い子だった」
「ここでもお得意の普通発揮するか」
「悪かったな!」
まあまあヒロシさんそんな怒らなくても。
「じゃあヒロ兄、逆にレイ姉はどがんじゃった? 私あんま覚えちょらんが」
あんま覚えてないって地味にくるからやめて美和。悲しいから。
「レイ姉かぁ……。うーん、なんつーか……今よりもっと大人びてたかなあ」
「嘘こけ」
「おい清舐めてんのか」
すぐ嘘こけってあんたさあ。
「大人びてた……じゃあ先生はレイ姉どんな感じに見えてたの?」
タマが清に話題を振る。清の高校生時代……あの伝説の……半田清伝説が築かれたあの……。
「高校生時代のレイ……みんなの前では八方美人演じてたけど、オレと川藤の前だと気まぐれで騒がしいやつだったな」
みんなの視線が一斉に突き刺さる。痛い痛い痛い痛い。言い訳しとこう。
「八方美人でも演じないと学生なんてやってられないじゃん?」
「つまり川さんと先生の前では素を出していたと」
「そうだな美和。中学の頃からの友人だったし」
事実、私が気を許せる友人はその2人だけだったし。
「そうと考えると本当川藤半田鹿田トリオって付き合い長いんだね」
タマがそう言った。うん、まあ、そうなるわな。
すると突然清が後ろを振り向き前方を指差した。
「ついたぞ」
視線を向けると、青。海と空の青。
ああ、綺麗だ。
やっぱり、油絵の道具一式を持ってきて正解だったな。