ばらかもんたんぺん
□夏だ!!!海だ!!!其の1
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「レイ姉〜」
外で美和の声が聞こえた。いじっていたパソコンを開いたままにして、玄関に向かう。
ちなみに私の家は現代的だから、縁側とかないし別口から入ってくるのは不可能。よってみんなちゃんと玄関に来るのだ。
ガチャリと鍵を解錠し、ドアを開けた。居たのは、体育着姿の美和とタマ、なる以下ガキンチョたち、麦わら帽子を被ってるものの浮かない顔をした清、そして、色々と装備をしたヒロシ。
「……ヒロシのおかげで察しがついたよ。色々」
そう、ヒロシは、浮き輪やシュノーケル、その他海に必要なもの全て持っていた。
つまり海に行くからお前保護者としてついてこいよと。
「察しがよくて話が早か」
さ、行こうと言い出した美和の腕を掴む。
「待て待て待て待て。私あんたらのお守りする暇ないんだけど」
つかお守りは清だけでよくね? と言ったものの、「先生だけじゃ心配だから」とタマが切り捨てた。あ、清が傷ついた顔してる。
そして、美和が「これだからレイ姉は」とため息をついた。
「アァン?」
美和とタマは、目を合わせて笑った。あ、腹立つ。
「今は色黒美女の時代! 白っぺぇレイ姉焼いてやろかと連れ出す我々の好意を無駄にするけ?」
「さよなら」
ドアを閉めると、猛烈なノックが響く。
仕方なしに開けると、美和が足を滑らせてきた。チッ、これじゃあまた閉めることが不可能になってしまったじゃないか。
「色黒モテモテじゃけレイ姉?! 色黒! モテモテ!」
「いや……ほんとそういうのいいんで……それに今は美肌の時代だから……」
お前ら必死だな、と思いつつ、清のほうを見た。ため息をついている。
「何でお前らは頑なにレイを連れて行こうとすんだよ。そんなオレ頼りないかよ」
みんなの「うん」という言葉に途端に崩れ落ちた。ああ。
「だって先生すぐすっ転んで頭打って寝てるじゃん」
美和の嫌味混じりの言葉に清の心は完全に抉れてしまったようで。ヒロシが同情するかのように、ポン、と清の肩に手を置いた。そして頷く。
「とりあえず君たちには海に行かないという選択肢はないんだね?」
私が腕を組んでそう言えば、みんなで元気よく「イエーイ」との返事。それ返事じゃねえよと返してやりたかったがやめておいた。