ばらかもんたんぺん

□夏だ!!!海だ!!!其の1
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「なんでレイ姉は来ようとしねーんだよ」

ヒロシが片手を上げてそう言ってきた。額に手を当てて考え込む。

「大賞の締め切り、連載漫画の締め切り、今月に迫った某巨大同人誌即売会に出す本の締め切りーー」とぼそぼそつぶやいていると、タマが「もうやめてレイ姉が死んじゃう!」と叫んだ。

「はぁ、レイらしいな」

清がまたため息をつく。

「なあ行こうぜ〜!」

ケン太が痺れを切らしたように私の手を掴む。それに便乗したのか、なるたちも私の腕を引っ張り始めた。

「なるはレイ姉と一緒に行きたい!」

「えー……」

「まあたまにはいいんじゃね。家の中に缶詰より、気分転換もあっていいと思うが」

清の言葉が突き刺さった上、子どもたちの純粋な視線に晒され、ついに私の中の社会人が折れた。

「わかった、わかったから……せめて荷物はまとめさせて」

なるが目を輝かせる。

「やったー!」

ケン太と小躍りを始めた。するとひながおどおどしながら私の服の裾を掴む。

「レイ姉も、泳ぐの?」

「それはないな」

泳ぎたくないな。私肌弱いからな。痛いんだよな。超ヒリヒリするもんな。

「なんだレイ姉、泳げなかか?」

なんて美和がにやけながら訊いてきた。

「や、泳げるっちゃ泳げるけど」

トーキョーのスイミングスクールは伊達じゃなかったよ。

「よっし行くぞお前ら。レイは早く支度しろ支度」

清が場を収束させるように言った。私も言われたとおりに、家の中に戻り、色々と支度をする。急いで外に戻ると、丁度みんな出発するころだった。

「お、先生、来たよ」

タマが報告すると、私のほうを横目で見た清は、天高く拳を突き上げた。

「行くぞーお前らー!」

「オー!」なんて叫ぶなるたち小学生組と美和。あなたがたは小学生レベルなのですか……。

誰にも見られてないけど、内心めっちゃ恥ずかしかった。

さて、海、行くか。
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