悪役のチケット 1

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路地裏の入り組んだ複雑な道を感覚だけで進むのはもう慣れた

道順や距離、障害物などが全て頭に入っているから



路地裏の湿った空気が、渇いた空気に変わる


着いた



幾つかの狭い道が集まって出来た開けた場所



私は家と家の隙間に隠してある袋を取り出し、100ベリーを入れる


ジャラ…


集まったのは98120ベリー

10万ベリーも集まれば商船も首を縦に降るだろう


もう少し、あともう少し


袋を隠そうと、しゃがみ……



「見つけたァァァアァ!!」

ザシュッ

「ぅあ゙っ!!」



背後で男の怒声が聞こえたとの同時に

左肩から背中にかけて鋭い痛みが走る

肩を手で押さえる


誰だ!?

つけられていた!?

なぜ気か付かなかった!?


頭の中が少しパニックになり、冷静になれない



「見つけたぜクソガキ…」



フゥー、フゥー、と荒い息を吐きながら喋る男


声からして……



「くッ、果物屋の…用心棒……」

「よォく覚えてんなァ、テメーのせいでなァ……」



「ウチの主人がご乱心なんだよ!!」

ガッ

「ぐあっ!!」



爪先で背中の傷を蹴られる


痺れるような痛みが脳を支配する



「テメーのせいで…おらァ!!」

ドガッ

「がぁっ!!」

「オレにも八つ当たりされるわ!!」

ドッ

「い゙っ!!」

「金は貰えねーわで!!」

ガッ

「ぁが、ッ」

「散々なんだよォ!!」

ドンッ

「あ゙…っ」



地面にうつ伏せに崩れる


剣の柄で殴られ、足で蹴られ

背中がじゅくじゅくと悲鳴を上げる



「わかるかァ?クソガキィ…」



グリグリと爪先で傷口を抉られる



「い゙、あ゙ぁッ!!」



痛い、痛い、痛い、痛い
もういやだ、嫌だ、ヤダ


痛みには慣れてるつもりだった

でもこれは、耐えられない



「終わってねぇんだぜクソガキ……」

「ゔ…」



男が肩を足で持ち上げ、私は仰向けにされる



私は目を開けてしまった



「ぅわっ、きめぇ…白い目?化け物かよ…」

「…!!」



しまった!!



「んな化け物はなおのこと殺らなきゃなァ…」

「や゙め……」



やばい、やばい!!

逃げろ!逃げろ!



「死ねぇぇえぇ!!!」



殺される!!





ザシュゥ…

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