悪役のチケット 1

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side、マルコ



俺達白ひげ海賊団は今日

赤煉瓦造りの町が特徴的なブリック島に停泊していた

町の家々の煤けた煉瓦を見る限り、この島では過去に大火事があった事を語っている


まぁ、どうでもいい


俺は空を眺めながら港を離れ、ブリック島の町に入っていった





町の様子を見る限りブリック島は栄えた島では無さそうだ

店の商品は高く

島民のほとんどが継ぎが当ててある服を着ていた



「よう小僧、おめぇ見ねぇ顔だな、この島の新入りか?」

「……いや、俺は船乗りだよい」



…魚屋の男が話しかけてきたので、俺は白ひげとして当然の受け答えをする

男が着ている服も継ぎが当てられていた



「そーかそーか、たまたまこの島をログが指したって訳か?
商業目的とか、やむを得ねー理由じゃねーならさっさかこの島を出た方がいいぜ」

「それは、」

「この島は貧乏でねぇ、自然と無法者が増える
人殺して小銭を稼ぐやつァそこらにいるぜ
ログは2日で溜まる。面倒事に巻き込まれたくなきゃあさっさかこの島を出るこったな」



無法者がねぃ……

まあ海賊も似た様な物だろ



魚屋の男と会話していると



ガタガターン

「待てこのクソガキが!!」



怒号が聞こえ、俺は声の元を見る



「誰かそいつ捕まえろ!!」



声の元は魚屋の向かいの果物屋だった

果物屋の商品であろう桃が道に散らばっている

果物屋から人の間を縫うように走り去るぼろ布を着たガキ…がいる

髪が長い事からして女だろうな



「あーあーまたあいつか」

「……」



魚屋の言葉に俺は振り向く



「いやー、ストリートチルドレンってやつよ
3年前くれーからこの島で盗み働いてるガキなんだがな、この島で見たことねー面だからたぶん、他の島から流されて来たやつなんだろ」

「…」



俺はもう一度、果物屋を見る

男が地団駄を踏み、ガキが逃げていった方向を睨んでいた

島民達は一度も果物屋を見ずに、何事もなかったかの様にしている



「…不思議そうな面だな

まぁ…最初はウチの島民達もあのガキ捕まえようとしたさ
だがな、必死に生きるあいつ見てて島民達は捕まえようとしなくなったんだよ
あのガキを引き取ろうって話も出たが、誰もあのガキを養ってやれねーんだ

可哀想だが、見ないフリするしか、ねーんだよな」



魚屋の男は溜め息をついた



俺の拳に自然と力が入る



「……そうかい」

「……喋り過ぎたな…ま、ほっといてやれ」

「………」



俺は魚屋を少し睨み、また町を歩き出した



魚屋はまるで、あのガキをどうにかして欲しいような口振りだった



俺には関係ねぇだろ





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