悪役のチケット 1

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お腹が空いたら食べる





喉が乾いたら水を飲む





寒くなったら服を着る





夜になったらベットで寝る





それがどれだけ幸せだったのだろうか











今の私には食べ物も、飲み水も、服も、家もない





ガシャアッ

「待て!このクソガキ!!」

「…………っ」



店から果物を盗む



そうしないと、生きていけない



「クッソ、また逃げられた」



勿論、金もない





ロヴァ島から流されて来たのはおそらく春島



気紛れなグランドラインの海に流され、島に着いたのは奇跡だ





「………」



盗んだ洋梨をかじる





「…………さむ」



もうそろそろ、火が沈む頃か



肌寒くなってきた



私が着ているワンピースは、もうぼろぼろ

麻布を体に巻き、寒さをしのぐ





また、かじる





「………しょっぱ」





頬を水が伝う





ずっと閉じていた目を開け、空を見上げる





空が、見えない





あの時から変わらない、真っ白な視界





目を、閉じた







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