悪役のチケット 1
□18
1ページ/1ページ
お腹が空いたら食べる
喉が乾いたら水を飲む
寒くなったら服を着る
夜になったらベットで寝る
それがどれだけ幸せだったのだろうか
・
今の私には食べ物も、飲み水も、服も、家もない
ガシャアッ
「待て!このクソガキ!!」
「…………っ」
店から果物を盗む
そうしないと、生きていけない
「クッソ、また逃げられた」
勿論、金もない
ロヴァ島から流されて来たのはおそらく春島
気紛れなグランドラインの海に流され、島に着いたのは奇跡だ
「………」
盗んだ洋梨をかじる
「…………さむ」
もうそろそろ、火が沈む頃か
肌寒くなってきた
私が着ているワンピースは、もうぼろぼろ
麻布を体に巻き、寒さをしのぐ
また、かじる
「………しょっぱ」
頬を水が伝う
ずっと閉じていた目を開け、空を見上げる
空が、見えない
あの時から変わらない、真っ白な視界
目を、閉じた
・