悪役のチケット 1

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※この話には卑猥な表現が含まれます







こわい

こわい

にげろ

にげろ



頭の中で警報音が鳴り響く



ガタガタと足が震える



逃げられない、逃げるわけにはいかない





「この島の奴等はよえーなァー」

「俺らが襲って来る事なんざ、ハナッから考えてなかったんだろーな」

「まーったくよォ、警戒はちゃーんとしなきゃねェ、タチの悪い連中が来ちまった時どーすんだよ」

「そーそー」

「オイオイ、テメーらが言えた口かァ?壊滅状態にしたのは俺らだろーが」

「ぎゃははははは!ちげーねぇ!」





3人の男が噴水に近付いて来る



やめろ、こっち来るな、来るな



「まァでも、オンナは良かったな」

「確かテメー酒場でヤッてたよな」



酒場で………………?



「で、ヤり心地はどーよ」

「あぁ、サイコーだっだぜ」

「サイコーとか言いながらテメー、ヤり殺してんじゃねーか、意味ねェー」



ヤり殺す………強、姦………?



「嫌々する女だったからよォ、ついつい欲情して理性切れちまった」

「うはははは!、嫌々する女ヤッたのか!サイテーだな!」

「ばっかてめ、嫌々するのがまたイイんじゃねーか」



男達が私の真横を通る



「慰み物として取っ捕まえればよかったのによー」

「けっこーなカワイコちゃんだったよな、えーと、何ちゃんだったっけ」

「あーん、確かよ」











“ネア、そーだ、ネアちゃんだ”











ネア、叔母さんが





殺された





こいつが、





殺した





私は立ち上がり、リンゴの入った籠を男達に投げつけた



「ぅああぁアァ!!」

ドガサァ「うごっ!?」



リンゴの籠はネア叔母さんを殺ったという本人に当たり、リンゴがばらばらと地面に散らばる





……………………やっちゃった



殺される、殺される!





「ってーなァ!!誰だァ!!!」

「………んだよ、ガキじゃねーか」

「まーだ生き残りがいたのかよ」



男達が私の方を振り向く



また、ガタガタと足が震え始める



「こんのクソガキ…」

「落ち着け、こんなガキに相手してどーする」

「つかコイツガタガタじゃん、ちびってんじゃね?」

「ひっ!」



男達が私をぐるりと囲むように見下ろす



もう、体が動かない





その時、ひゅ、と何かが風を切る音がして



バゴッ
「あ゙っ」



左目に強い痛みと衝撃が走り

視界が閃光のように一瞬で真っ白に染まる





私は殴られた





ベシャリと私は地面に倒れる



「オイ、止めろ、時間の無駄だ」

「いーや許さねぇ!!」

「がっ…」



おそらく私はヒステリックに叫ぶ男に胸ぐらを捕まれ、宙ぶらりんになっている



視界が真っ白のまま晴れないので、何も見る事が出来ない



「オラァ!!!」

ゴッ

ドガシャア……



今度は右目を殴られ、噴水広場を囲む家まで吹っ飛ばされる



私はおそらく、家の壁にめり込んでいるだろう





痛みに喘ぐ余裕がない

体がピクリとも動かない





ただただ、恐怖





「オイ、もう止めろ」

「だが!!」

「そのガキは死んだだろ、それともテメーは骸のガキをなぶる趣味でもあるのか?」

「………………チッ」





男達は去っていった様だ



目元に生暖かいものが伝う





嗚呼、もう限界だ





私は静かに





意識を闇に沈めた

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