悪役のチケット 1

□10
1ページ/1ページ

出航まで、あと数分



波はいつも以上に穏やかで

空は泣きたくなるほど清みきっていた



港には、大きな商船が停泊しており

数人の島民が商船の見送りに来ていた






「ティーチ、元気にやるのよ」

「うん」

「寝る時は暖かくしてね、それと外出する時はちゃんと上着を着ること、ネア叔母さんに思いっきり甘えなさいね、あと……」

「母さんもういい、もういいから」



それ以上言われたら

また、泣きたくなる



「ティーチ、出航するぞ!」

「あ、はい!」



「母さん、げん…」

「行ってらっしゃい、ティーチ」



母さんにぎゅう、と抱き締められる



「ぅ、うぅ…」

「お腹、出して寝ちゃダメよ」





「う゛ん!!いっでぎまず!!母さん!!!」

















商船はメイブルー島をゆっくり、ゆっくり離れて行く





ロヴァ島はまあまあ平和な島で

海軍駐屯地もない

島の規模も大きめで、実を隠すのにはもってこいの島だ











母さんの事は心から心配だ



でも、これからの生活に胸を馳せる自分がいた





ッア―、ア―

カモメが啼(ナ)いた

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ