悪役のチケット 1

□6
1ページ/1ページ

父さんが仕事に行き、1週間





よく晴れた日



海軍の軍艦がメイブルー島に上陸した





海兵の人達が私の家の戸をノックする



それには母さんが答えた



海兵の人達が何かを担いでいるのが窓から見える



あれは、棺桶かな



漫画で見たことあるぞ



母さんと海兵が何かを話している



窓から目を離し、母さんを見た瞬間



母さんは泣き崩れた



「おかあさん!!?」



私は母さんに駆け寄る



「かいへいのにーさん!おかあさんになにをした!!!」



泣くおかあさんの背中を擦りながら海兵を睨む



母さんと話していた海兵はばつが悪そうに帽子を深くかぶり直した



「ティ、ーチ」

「!!」



母さんが自分の名前を呼ぶ



「おかあさん……?」

「ティーチ……



おとうさんが、死んだって……」

「………え」





「おと、さん、海軍だ、から、いつ、危ない目に逢っても、死ん、じゃってもおかしくないのに……
どうしよう、おかあさん、何をしたらい、かわかんないよ、ティー、チ」

「……………」



涙声の母さんに後ろから抱き締められる



ぽたぽたと濡れる頭



………はは、父さんが死んだ?



1週間前、話したばっかじゃないか



父さん、強いんだよ



森の熊をね、一発殴っただけでのしちゃうだよ



「…………棺を…」



海兵の声のすぐ後、



ゴトリ



重い音がして母さんと私の前には……



「MARINE」と書かれた海軍のシンボルマーク



の判が押された白い棺



「ご本人ですね……」



ガコンと棺の蓋が開き



そこに居たのは



「見ちゃダメ、ティーチ」



母さんに目を塞がれる



「確かに……主人です」



先ほどの涙声とは変わり



低い、殺気を含んだような声に体が震える



ガコ、と棺が閉まったよう



「ティーチ」



母さんと向き合う形に体を回転させられ



ぎゅう、と正面から抱き締められる



「ティーチ、ごめんね」

「母さん……?」



私にしか聞こえないような小さい声で



「…ティーチ、ごめんねごめんね……」

「……………」

「貴方は生きてね……」





よく、わかんないよ母さん



生きてねってなに?



「おかあさん………?」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ