千本桜

□プロローグ
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これはボクが高校最後の冬休みを迎えた時のある日の話です。
あの時は“ある人”を“在るべき場所”へ還してからあと三ヶ月で1年が経とうとしていました。


学校が終わって、友達と6人でボクの家へ向かっていた時に、淡い桃色のスカーフを首に巻いた白い猫が、道の真ん中でちょこんと座っていたんです。
その白い猫は人一倍人(いや、猫一倍って言えば良いのかな?)懐っこいのと何処にでも現れることで最近有名になっている地域猫でした。


でも今回はちょっと違うみたいで、白い猫の口に“何か”を持っていました。
それをボクの元へ持ってきてくれて、その“何か”の端を持つと、白い猫は口を離して直ぐ何処かへ行っちゃいました。


よく見たらその“何か”は“ボク宛の手紙”で、手紙の封を開けて内容を皆で見たのですが、ただ…内容が「なぁに、これぇ?」ってこの場に居た全員が言ってしまう程の内容で、友達の1人が『誰かが悪戯で書いた物だろうから捨てておけ』って言われたけど、ボクはまだ持っていた方が良いと思ったんです。


そして12月31日大晦日の夜、皆で年明けのメールを送ろうって約束したハズなのに、今回に限ってボクは睡魔に襲われてそのまま眠ってしまいました……



















“手紙の送り主達”が新たな年の様々な宴とある儀式の準備をしていることを、あの時のボク達はまだ知る由もありませんでした…。





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