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□ありあまる程の愛を。
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「あ、名無しさん?今から俺んち来て。」
彼が電話でこんな風に私を呼ぶ理由は、大抵決まっている。
『あんた、また 別れたん?』
私は呆れたように、 大きな溜息をつきながら言った。
「んー、面倒くさなったからフッてもうた。 」
電話口からは、んふふなんて独特な笑い声が聞こえ る。
いや、笑い事じゃないだろ。
『またかい。流星、あ んた今年 入って何回目やねん。』
「えー、わからん。」
自 分のことをまるで他人事のように話す彼に、また 溜息が漏れる。
「とにかく、はよ来てや。」
ブ チっと一方的 に電話を切られ、不通音が耳に響 く。
『ったく、呼ばれたらいつでも来るとか思うなや…。こっちにだって都合… あんねん、から。 』
電話を切ってポツリと独り言が溢れ た。
いつからだろうか、こうなってしまったのは。
小学 校か らの腐れ縁の私達は、流星が恋人と別れれば新しい恋人が出来るまでの間、体の関係を持つような、なんだかおかしな関係になってしまっていた。
何がどうなって、こんな関係になってしまったんだっけ。
もうやめたい。
こんな関係。
そう心で何度思っても、私の足は勝手 に彼の家へと向か う。