長編
□1話
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______春
学校では新学期が始まって少したった頃。新しいクラスになってまだ慣れない者もいればすっかり慣れた者もいる。
そして、誰もが眠気を誘われる歴史の授業中、教室の後ろ、窓際の席に座る赤司征十郎の視線は運動場に居るたった1人に向いていた。
…蒼井先輩。
虹村先輩と喋りながら楽しそうに笑うその人を見て、赤司はまた胸の奥がきゅんとなる感覚に襲われる。
先輩は、あんな風にも笑うのか。
自分の知らない1面を見るとちょっぴり嬉しくなる反面、もっと知りたい欲が出てくる。
恋とは不思議な物だな。
「〜〜〜〜〜があって…」
先生の話にはなにか特別な力があるかのように教室の大半の生徒は眠気と戦っているんだろう。
僕もあまり外ばかり見ていてはいけないな。
僕は恋なんてした事なかったから、先輩に抱く感情に初めは気付かなかった。
先輩を好きになった理由はまた今度。
_____好きな人
「好きです…先輩。」
誰にも聞こえない声でそう呟いた。