原作設定short

□If you play with fire you get burned.2
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澄んだ夜空が広がる真夜中。日中は人で溢れる調査兵団本部は今は静まり返っていた。外の見張りに立つ兵士が退屈しのぎに談笑する声が聞こえるぐらいで建物内は静寂に満ちている。皆訓練や書類の整理に追われてすり減らした体力を眠りで補おうとしているのだろう。実に静かな夜だ。誰かが閉め忘れたカーテンの隙間から漏れる月光の光が幻想的に本部内の廊下を照らしている。
だがそんな穏やかな地上の空気が届かない地下室ではそんな夜には似つかわしくない声が響いていた。鍵の掛けられた地下への扉を開け重厚な石造りの階段を下り息の詰まりそうな鉄格子の向こう。軋むベットの上で肌蹴た格好の青年が小柄な男に抱き伏せられている。
「あっあっあっリヴァ!ごめんなさっごめッあああん」
二人が繋がる個所からぐちゅぐちゅと湿った音を響かせ青年はシーツを握りしめた。生意気な外面を剥がせば何のことは無い、目の前にいるのはただの貧弱な子供だ。いつもは無駄吠えの煩い口だが、今はだらしなく唾液を滴らせ掠れた甲高い声をあげて悶えている。高揚とした頬で犬の様には、は、と息を漏らしながら潤む金色の瞳は誰かに許しを請う罪人の様だ。もしそうだとすれば、許しを請う相手は今青年を抱き伏せるこの小柄な男になるのだろう、汗に濡れる黒髪を掻き上げ男は上機嫌に青年を見つめた。
「っちゃう、あ!あ!もういっ!く、ぅッッああ、あ!!リヴァ、りヴぁぃもう、もう、なぁ、」
「…まだだエレン、まだへばるには早い」
「無理っむりぃもう、あ、あ、あ!いくッイくイクあッああぁ…!!ああッあ、あ!」
ぶるりと大きく体を震わし青年は恍惚の表情を浮かべる。いつまでも続く絶頂感に何度も体が跳ねるが、赤く充血した青年のそこは細いベルトできつく閉められていて終わりを吐き出すことが出来ないでいた。ずっとそうされてたのだろうか、染み出る透明の雫に青年のそこは太腿まで濡れていてランプの灯りにヌラヌラと光るのが艶めかしい。そこを見た男が眉を顰め
「またイッたか、だらしねぇ」
と愉しそうに青年を蔑み。中に埋めたままの自身の先端で青年の前立腺を強く擦ってやった。イッた後の敏感なそこを嬲られ途端に青年は体を跳ねさせる。
「ああぅっふあ、ぁもうむりぃ、ひゃうッむりでひゅッ!!だめ、ぇあ、あ、あ〜〜!!〜〜ぃ、てるッいってるのぉ!いってるってばぁ!!ひぅッッあ、ああ!!」
「く、はは…汚ねぇなぁ」
きれぎれの息で必死に訴える青年を可哀想な物を見る目で見つめ男が青年の頬を撫でた。涙か鼻水か唾液か汗か。よくわからない物で顔をびしゃびしゃにした青年を汚いと罵る割に男は嬉しそうで普段は愛想笑いもしない細い唇を上角に歪め笑っていた。追い詰められそれでも吐き出すことが出来ない青年はギリギリに保った意識の中、うわ言の様に男の名を呼び
「ぁッり、ば、んんぅッ…!!り、」
「あ?」
「…ッリヴァ、も、…!!しんじゃぅ…!!」
「は、うるせぇぞエレン。そろそろトンどけ」
「んぅッあ、あ!あああんッ!!」
生殺しの責めは再開される。グズグズにとろけた金の瞳の、なんと甘い事。恋人同士が名を囁く様に弱々しく助けを乞うエレンを愛おしそうに容赦なくリヴァイは責め立て続ける。毎夜繰り返される長い長い夜は今日も終わらない。エレンが意識を失くし深い眠りに堕ちるまでリヴァイは犬歯を覗かせた凶悪な笑みを浮かべエレンを貪った。









「は、ちっくしょ…あのチビ、中に出しやがって…は…」
高価なビロードのソファーにくたりと体を横たえらせエレンは浅く息を吐いた。エレンがこの調査兵団本部に囚われもう2週間といったところか。エレンが日付を覚えていないので正確には分かりはしないがあの日リヴァイに囚われた日から毎夜連日エレンはリヴァイに抱かれていた。飽きもせず執拗に繰り返される行為にエレンが反撃を試みたのは最初の数日だけで今は抗う事すら恐ろしく、リヴァイの気が済むまで体を曝される他ない。リヴァイの機嫌一つで責め様も変わるので常にエレンはリヴァイの顔色を窺いながら日々を過ごしていた。
「…いつか殺してやる…あのクソチビ…っ…痛ってぇ…」
昨日は特にひどかったようでエレンは顔を顰め気怠げに体を寝返らせる。散々行われた行為の後始末と眠気に追われ昨日エレンは撃沈し寝坊して食堂で出される朝食にも間に合わなかった。おかげで空腹で胃が気持ち悪い。刺しこむように痛む腹を擦り短い呻きを上げる。天気のいい今日、外では訓練生の威勢のいい声が聞こえ温かな日差しが降り注いでいるが今エレンのいる執務室はカーテンで窓は覆われその光は遮られている。薄暗い影の満ちる部屋は内装こそ違うが、懐かしい荒れた地下街の家を彷彿と思い出させた。
「…」
日の差しこまない地下を嫌い光溢れる地上に憧れいざ身を置いたものの、常にどこかで影を探している自分にエレンは皮肉を覚える。地上で暮らしてきた人間に紛れこむのは簡単で退屈だが、地上は地下街で生きてきた自分との違いを常に見せつけられて息が詰まり疲れてしまう。エレンは地上の生活に馴染めずにいた。安息出来る影が恋しくて今も執務室のカーテンはわざと開けようとはしない。 疲れた体を柔いソファーに埋めエレンはそっと目を閉じる。
…影は、いい。光で溢れる地上は何もかもが眩しすぎて目が痛む。

うつらうつらと意識を漂わせしばらく経ち、廊下から足音が近づいてきた。その音はエレンのいる執務室の前で一旦止まり、足音の人物が部屋の扉を開け中に入って来た。
カチャ。

「あれ?誰か寝てる?」
「…」
中性的な声に鬱陶しそうにエレンが目を開けた。後ろ手で扉を閉め中に部屋の入る人物もエレンの顔を視認する。入ってきたのはメガネを掛け乱雑に髪を結った兵士姿の細身の女性。胸には高く積まれた本や紙の束を抱えている。どことなくエレンにはその女性に見覚えがあったが先に反応したのはメガネを掛けた女性だった。
「あぁ!君確かリヴァイの。え〜と…名前は、エレン…だったよね?どうしたのこんなところで。体調でも悪いの?」
「…あんた、確かリヴァイの」


『ねぇリヴァイー、非番の時にごめん。次の遠征調査の指揮のことなんだけどエルヴィンがさー、って。…ありゃりゃ』


「あ、覚えてくれてた?名乗るのは初めてかな、私はハンジ。リヴァイとは同期の仲で…一応彼の部下になるのかな?分隊長の職に就いてる。2週間前までは君の身分調査も担当してたよ、よろしく…。そう睨まないでおくれよ。別に私はリヴァイとグルだったわけじゃないんだから。むしろこれでもリヴァイからエレンが上手く逃げられるように祈ってたんだよ、」
どさ。はー、重かったぁ!
胸に抱えた本と紙の山をローテーブルに置き女性はうんざりというように背伸びをする。からかうような物言いに穏やかな笑みを常に湛える彼女の顔は接する者に親近感を抱かせるがどうにも掴み所が無い彼女をエレンは苦手に感じていた。こういった本心の見えない大人は扱いにくく、地下街ではそういう人間は真の愚かな善人か、その真逆の人像に当てはまる。…出来るだけ関わり合いたくない。
数歩歩きハンジが閉められたカーテンと窓を勢いよく開ける。舞った埃が光に粒子を輝かせ部屋の空気が入れ替わる。明るくなった部屋、エレンは鬱陶しそうに眼を細める。
「まぁ、大変だろうけど。リヴァイの気が済むまで付き合ってあげてよ、その方が何かと荒波立てずに済む…きっと君ももう経験済みだろう?逃げた所であいつはどこまでも君を追って来るし、どんな手を使ってでも決して手放したりはしないよ。上手くリヴァイの君への興味が削げたらいいんだろうけど、部外者の私が下手に手を出すとこっちが殺されかねない…何も出来なくて可哀想だと思うけどさ。反抗しても君が痛い思いをするだけだろ?なら初めから抵抗せず、あいつが飽くまで大人しく従うのも一計だと思うよ。案外その方が早く解放してもらえるんじゃないかな」
「っせぇ…どっか行け」
「ありゃりゃ。ごめん怒らせちゃったみたいだね。まぁ…君が早く自由になれる事を私も祈ってるよ。難しいとは思うけど」

「その祈りが届くといいがなハンジ」

「…」
「やぁリヴァイ。随分遅いお着きで」
聞きなれた嫌な声に睨むようにエレンが顔を上げれば、部屋の扉に立つのはやはりリヴァイだ。どうやって音もなく扉を開けたのかいつの間にか彼は部屋内に入っていて後ろ手で扉を閉めるところだった。チラリと無表情の瞳がエレンに向けられたがすぐに視線は逸らされズカズカと書類の置かれたローテーブルへ歩を進める。
シワ一つない制服を身に纏った清潔そうな格好からは昨日の獣染みた彼の狂気性は垣間見れない。
…散々好きに体を嬲っておいて素知らぬ顔で登場するのが腹立たしい。こっちはそのせいで朝からこんな状態だと言うのに。

「何してたの?もうとっくに書類の整理ぐらい終わらせてると思ったのに」
「会議が長引いてな…どうにも憲兵団の奴らとはそりが合わねぇ。動かねぇブタほど喚き声はでけぇもんだな」
「えっちょっと待って手ぶら…?手ぶらなの?リヴァイ、自分の報告書はどうしたの、1枚2枚じゃないんでしょ」
「これから書く」
「その割には筆記具も持って来ないってどういう…」
「邪魔だエレン」
ドフン。鬱陶しそうにリヴァイがエレンの蹴った。機嫌の悪そうな目でエレンは睨み返すがそれで動じる男ではないのもよく知っている。多少も怒りを買えればエレンの気も紛れるがリヴァイは見下げた目で家畜に命令でもするかのように冷たく言い放つ。
「どけ」
「…」
ソファーに伸ばした足をそろりと地面に下ろした。瞬間リヴァイがドカリと腰を下ろし大きくソファーが揺れる。もう少しエレンが足を下ろすのが遅れたらリヴァイの尻に下敷きになってたことだろう。
ローテーブルを間に向かい合うように置かれたもう一つのソファーにハンジも腰かける。空いたソファーがあるんだからそっちに座れよジジイ、と心の中で悪態をついたが喋るのも癇に障るのでエレンは口を閉ざし眠いフリをする。
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