HTF家の事情
□一家の朝
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その時。
「スニフ、宿題やった?」
「……見せないから」
「まだ何も言ってないよ!」
「ちょっと、私の髪留め知らない?」
「あ、ぼくさっき洗面所でみたよっ」
「ナッティ、歩きながら寝るな」
「うん…うん大丈夫……おき、てる」
「あ、ナツ兄が倒れた」
騒がしい声とともにどたどたと弟妹たちがリビングに入ってきた。
一旦起きてしまえばやたらと元気なやつらである。
若いっていいなぁ。
「ほら、お前は早く起きろ!」
俺は立ち上がり、床にうつ伏せになったきりピクリとも動かないナッティをつまむようにして持ち上げる。
女子みたいな細腕のくせに何でこんなに重いんだ?
「うぇー……」
「うぇーじゃない。立て」
大変な思いをして全員起こしてやったのにまた寝る奴がいるから嫌になる。
「ほらナッティ、朝食だぞ」
兄さんの声を聞いた途端、バネ人形よろしく飛び上がったナッティは「いまいく!」と叫ぶなりテーブルへぴょんぴょん跳ねていった。
ったく、呆れる位単純な奴。
「あはは、ラン兄無駄骨だね」
「うるさい」
茶々をいれるカドルスを軽く小突く。