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こっそりひっそり。
2人だけの秘密。
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01/22(Fri) 16:58
ロビン
「どういうことかって言うとね、」
あぁ、どんな反応をされようがこれは私の正真正銘、“本心”だ。
あとは――どの程度言葉で補えるか。
恥ずかしい話だが、こういう時にこそ私の“外面の良さ”が仇になるのはよくわかっている。
余計な言葉は言わないに限るだろうが、言葉足らずでもいけない。
さて、
「――最初から、全てやり直してごらん。」
「……」
「愛しているのなら、もう一度はじめから恋をやり直すんだ。…彼女を本来の正しい意味で“自分のモノ”にしたいのなら。」
「…」
「殺した所でそれは結局キミだけの自己満足だよ。そうなった時、彼女は最期の時をキミと過ごすのだろうけれど、キミの傍らに居るにも関わらず彼女が最期に想うのはまた別の人間だ。実に滑稽な話だよ。」
真っ直ぐに、互いにブレることの無い視線。
彼は鼻で笑い、私は苦笑いを。
「笑う余裕があるのか、大したものだよ。」
「お互いにな。」
「なぁリゾット君、」
「なんだ。」
「人間は、“忘れる生き物”だね。」
「だから?」
「そして都合よく記憶を上書きするんだ。その先を生きるために。」
「今更何を」
「全てを失うにはまだ早いと言っているんだよ。…彼女はキミの全てだろう。」
「…さぁな、キミが推し量る程度じゃ収まらないだろうが。」
「それを“全て”と言うんだよ。キミの感情をこれ以上無い程揺さぶり、一瞬でキミの見ている景色を塗り替えてしまうような、…私はキミに来て欲しくない。“コチラ側”へなんて。だから彼女への愛を歪めて欲しくないし、愛される努力をして欲しいとも思う。…2人で恋をしてごらん。少なくとも彼女はキミを嫌いだなんて思っちゃいないんだから。」
「なら何故奪った?」
「奪った?いいや。だからさっきから言ってるだろう、ただの利害の一致さ。私たちの場合そこにほんの一摘まみの“情”があっただけで。奪われるっていうのはね、」
まったく、話を聴いていないにも程があるよリゾット君。
「心身共に攫われることじゃない。彼女が他の存在や自分さえ全て投げ打って、それでも自分以外の誰かになりふり構わず縋って乞い求めるその状態のことを言うんだよ。別の言い方をすれば、“恋をする”ってことなんだろうね。――キミはまだ完全には奪われてはいないと思うんだが…」
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01/25(Mon) 00:16
時世
どうにも。
黙ったら黙ったで動悸がひどいなオイ。
私、過呼吸の気があるから気をつけないとな。
……微かな空調の音も沈黙しかないこの部屋では酷く耳障りで、凄くイラつく。
(……帰りたい…………)
何処に、というワケではなく。
やっぱり私は逃げたいんだよな、今、此処から。
彼らは……彼はどういうつもりなんだろう、実際。
何があるっていうんだ、何が起きているんだ。
どう持っていきたいんだ?
何が“最良”の道であるのか。
今やそんなものがそもそもあるのかどうか。
どう転んでもロクな目に遭わない気がするっていうかロクでもないのは私自身っていうか!
もうね、現実逃避も出来やしない。
これ以上なくのし掛かって来ているよ、この現実が……当たり前といえば当たり前のこと。
“フィレンツェさんの子供”なんだぜ、私が身籠っているのは。
いや、だからこそこんなんなってるんだが。
でもほんと、何がどうなってこうなっているのやら。
なに、私は一体何がしたかったワケ?
意識して伸ばしていた背を緩めて、扉を睨み付ける。
待ち合わせとかで待つのは苦ではない。
けれど、こういう“待ち”は嫌いだ。
だいっきらいだよ。
“ただ待つだけ”なんて、残されるなんて、私が一番嫌いなことだ。
今までだってそれが嫌で無茶ぶりをして、皆を困らせてきた。
……だからね、
「……よし」
「チッ……まァたオマエってヤツは……」
「……ペッシ」
「頼むから、大人しくしといてくれよ、ホントに」
「もう面倒くせェ、そのまま縛っとけ」
「……やれやれだぜ、結局誰も怒ってくれやしないんだからな。しってたけど」
私はただ“それだけ”の人間で、私もそれでよかった。
それでも悲しいだなんてまったく救いようもないね。
戒められていた方が気分的に楽なんて、笑っちゃう。
でもこうでもしなきゃあ、自分への言い訳がなきゃあ大人しくなんて出来ない。
……いくら子が母体と繋がっているとはいえ、腕くらいなら大丈夫かな?
私自身痛みには強いし、ちょっとくらいなら?
つまりはもはや、大分自暴自棄だ。
自覚出来るくらいには冷静だから、まだ血は見ていないけど。
ああ私もうほんとに、いよいよ駄目だ。
自分の行動と反応と影響、結果がシュミレート出来ない。
私は一体、
今、何がしたいんだろう。
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01/25(Mon) 01:03
ロビン
「だからキミが純粋に“彼女と会いたい”という理由でなら、私は構わない。疑わしい言動さえ無ければ私の知ったことじゃあないさ。だろ?」
「……」
「生きて今度こそ彼女を正しい手順で自分のモノにするか、歪んだ愛を胸に死を選ぶか――好きにするといい。1日だけ考える時間を貰えるそうだから自棄を起こさず冷静に考えてみてくれ。あぁちなみに言っておくけど、」
「…なんだ。」
「私はキミが誰かを幸せにする姿を見たかったよ。…今言った所でキミの気持ちを逆撫でる言葉でしかないのだろうけどね。」
束の間の沈黙。
数分前と変わらぬ表情を貼り付けたままのリゾット君は今、どんなことを考えているだろう。
感情に支配された頭では何を考えても同じ結末しか見えてこない。
もう何度殺されたことになってるんだろうとどうでもいいことをふと思った。
頼むから、私の言った通りにしてくれ。
色々と引っ掻き回した私が思うのも馬鹿な話だが、直せなくなるまで壊してくれるなよ――
******
「まだ気に食わないって顔をしてるけど、何なの?」
素朴な疑問だったから、ついいつもの口調でね。
ネエロって瞬きあんまりしないんだなぁだとか今はどうだっていいんだけどさ。
「当然だろう…?」
おっかない顔して、けれど僕を見ようともしない。
終始一貫してフィレンツェばかり凝視する彼はドライアイのプロなんだろう。
「――…、ふっ」
別に思いついた言葉に自分でウケたわけじゃない。
静かに肩を揺らす僕をスピリットが心配している。
頭を抱えちまいたいくらいの面倒なトラブルではあるんだけど、まぁ笑えることといったらもう。
「馬鹿だなキミ。頭悪いんじゃないか?」
「……」
「ここまで逃げ道を用意してやってまだ文句があるって?この条件が飲めないならキミ、死ぬんだよ?」
「…」
「死んだら“オシマイ”じゃないか。死んでも彼女の中で自分は生き続けるとでも思ってるの?キミってそんなに“特別”なの?嫌なことは忘れたいに決まってるそうでなくても無意識に自分を蝕む記憶は消えていくってのにさ。」
あぁ馬鹿だ、とんだお馬鹿さんだ。
「誰が自己満で拉致監禁して自分をダッチワイフにしたヤツなんか覚えていたいと思うんだよ、なぁ?」
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01/26(Tue) 00:06
時世
ずっと考えていたよ。
そして“無価値”と定めた、ハズだったのだけど。
私にもそれなりの意地と、なけなしのプライドなんてクソの役にもたたないと理解していて尚捨てられないモノがあって。
だからひとつ、一つずつ一つずつ“理由付け”をしていって、自分を満たした。
私の“価値”って何?
そんな大層なモノでなくていい、ただ理由が欲しくて―――存在の許容。
存在しないハズだった私という異物、排除され、淘汰されるハズだった。
放り出された、それでもしがみついたのは私。
それは何故だったのか。
情も確かにあっただろう、でもそれ以上に私は、私が嫌だからというあくまで独善的な。
他の誰の“感情”も知らないフリをして、ああ上手くやれると思ったんだ。
私はリゾット・ネエロの、その“女”だった。
ただのそれだけ。
弁えていた、だから、わかっていたから私は受け入れたし。
だからこそ私の存在は許容されていた。
上手くやっていたと思う。
何にも知らずに――――知りたくもない、目をそらして耳を塞ぎ、彼らも最低限は私の視界を塞ぎ耳を覆ってくれた。
甘やかしてくれた。
だから、上手くやれていると思っていたんだ。
これからも――――いや、いつか破綻するとは知っていた、私は女、人間、老いるし変わる。
変化を恐れながら、否応なしに変わっていく。
だからあの狂おしく歪な生活がいつまでも続くワケもないことは知っていた。
私でさえ、
私が壊してしまったんだ、変わってしまった、挙げ句変えてしまった。
水面に浮かんだ月に惑わされて。
今はもう何もない。
強いて言うならフィレンツェさんの子の母体であることが、
今の私の“価値”かな。
……いつだって付加価値がなければ私など顔も名前もない人間。
“持たざる者”さ。
上を見て羨み、努力せず。
下を見て戦き、汚れることすら良しとせず。
不平不満を垂れ流すだけ。
無責任な群集。
他人を勝手に祭り上げて、勝手に贄にして、事なきを得るような。
その他大勢のうちの一人。
それでも私には私の感情があり、人生があり、夢物語を描いたり。
……モブにも、“想い”はあるのさ、語られないだけで。
“メインストーリー”の進行に関係なければそれまで。
ねぇリゾット、今、君はどんな気持ちで何を考えているのかな。
かつてあれ程執着を示してくれたけど、いい加減、もう出会って大分経つし。
平生ならプライドや勿体ない根性で許さなくても、こう面倒くさいことになったらば、もういいやってなったかな。
それならそれでいい。
やっぱり私、どう考えてもまだ死ねないから。
……縛られた腕を眺めて、大人しく椅子に座る。
それから、
だったら私にも“価値”はリゾットにとっては、少なくとも以前はあったんだなって。
すごく今更だけれど、やっと“納得”できた。
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01/28(Thu) 19:31
ロビン
ガチャリ――
ドアノブの回る音に注目する室内。
どうやら“話し合い”は終わったんだろう、そして控え目に扉が開く。
「………」
「…ちょっと、何よ。」
「いや別に。」
「なにか文句でも?」
「無いよあるわけ無いだろ。」
「そういう風には見えないけど。」
「あぁそうかい気のせいだ。」
面倒くさそうにげんなりした彼の表情は、原因がいくつか考えられる。
先程までの“話し合い”の結果が芳しくなかったか、あるいは…
「…どうせ聞こえてたんでしょ。アンタも手伝いなさいよね。」
「ハイハイ、ガガ様の仰せのままに。」
******
ラファエル、アンタでしょ面倒ごと起こしてるのは!!
そんな声ではっと目を覚ましムクリと起き上がれば、ケータイに向かって有らん限りの怒りをぶつけるガガさんの後ろ姿があった。
長い髪を纏め上げ、シャワーでも浴びてきたのか上半身は剥き出しのまま。
女の人みたいな綺麗な背中だなぁ、なんて一瞬考えて、なんで怒ってるんだろう?とふと考える。
昨日からガガさんとルークは喧嘩をしていたから、あの3馬鹿トリオが偵察がてら僕の部屋にまた勝手に上がり込んで。
ルークの部屋でも良かったんだけど、あの人夜中もゲームしながら仕事してるし。
それで僕はガガさんの部屋に避難してきたというワケだ。
あの3馬鹿といえど、ガガさんには頭が上がらないらしい。
そりゃあそうだろう、なんたってローマが誇るセレブリティ。
逆鱗に触れたらどうなるかなんて考えるまでもない。
そんなことを考えてたら。
「フィーネちゃん、ちょっと出掛けてくるわ。」
唐突に、ガガさんが僕を振り返って。
「え?あ――あ、いやダメですよ…少なくとも独りで外出しないで下さい、あんなでもルークはすごく心配してて…」
「わかってるわ。でも時間が無いのよ。ちょっと…頼まれ事で。」
「なら僕がお供します…」
「………」
ガガさんは少し困った表情をしたけれど、僕も困る。
ガガさんがこちらに来てからというもの、彼女の事情は僕にはわからないけれど。
「…わかったわ。でもソレが収まるまでに支度し終わってね。」
僕から視線を少し下げた彼女につられて見下ろすと、寝起きの僕はすごく恥ずかしい思いをした。
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