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こっそりひっそり。
2人だけの秘密。
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[レス書込]
04/15(Wed) 03:14
ロビン
愛してるから、愛してると言えなかった。
彼を想えばこそ、言えるわけがなかったわ。
「前科も何も無い一般人、てことになってるけどね。フィレンツェはだから正式に籍を入れたのよ。ミランダに彼があげられるモノは差し出したの。心はフィオナに捧げて。今の彼は私への贖罪として生きているだけなんでしょうね。…私を守るためだけに。」
私が黙れば、当然この場は静まり返った。
勿論フィレンツェも異論反論があるわけもなし。
胸に渦巻く感情を必死に押さえ込んで、…いやね、私もフィレンツェと同じなのよ。
こういう時だけはね。
だから上手くやってこれたし気も合った。
「あなただけが悪いとは言わないわ。でもね、知っていたらこんな事にはならなかったと思うの。」
「なんで」
「“なんで名前が変わったのに言わなかったのか”って?財団絡みよ。察してちょうだい。パッショーネも互いに干渉したくないでしょうし――」
「…子供…ミランダって人、」
「流産よ。14で妊娠だもの初期だし気付かなかったんでしょうね。トイレで――あぁ、やめとくわ。」
「…い、今更ッ――」
「“喰った”んだよ。」
黙るばかりだった彼が、静かに呟いた。
「トイレで流産した赤ん坊をね、喰ったんだよ。拾い上げて。何度も何度も戻しながら。自分の体内に戻したのさ…」
無表情のまま、彼は言い終える。
私たちを見るでもなく。
彼は相変わらず過ぎ去る嵐を堪えるように。
ただ静かな時間が流れていく。
「…君は、優しいね。」
不意に放たれた言葉。
「…あなたもね。」
母親の話は敢えて触れずに。
この話はまだ大丈夫なはず。
彼女がいずれ知るかはわからないけれど、フィレンツェのトラウマの一つ。
彼にとっての、全ての運命の始まり。
「…ちなみにね、咲ちゃん。」
瞳だけを私に向け、もはや身体さえ動かさない彼女だけど。
「あぁ、やっぱりいいわ。話を終わらせてからで。」
長引けば長引く程、ルークが痺れを切らせて勝手に乗り込んでくるだけだから。
…ていう、内緒のオハナシよ。
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