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こっそりひっそり。

2人だけの秘密。



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04/02(Thu) 15:25
014
ロビン

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04/04(Sat) 19:39
時世




「………」



随分ながく、寝ていた気がする。

熟睡、といって良いのかはわからないけど。
気分的に、とても長い間眠っていたような。

ぼうっと、して。



(夢だったのなら、)



良かった、だろうか?

社長、…ガガさん、フィレンツェさん、……ラファエルさん。
……それからリゾット。

それと私。……と?

“居る”
と言われれば居る、ような気もする。
自分の体だけど、私は、よくわからない、から。

ラファエルさんのところにいこうと、思う。

信じてみて、まぁ結局騙されていたワケだが?
事情が事情、早速まさかのフィレンツェさんが迷惑をかけてしまったようだし。
確認だけね、
また“嘘”をつかれるかもしれない、それはそれ。

仕方ないよ。

フィレンツェさんが“信用出来ない”んだもの。

いいんだ、それで。
……ただ、自分の都合で欲しいとかいらないとか、
まぁああ、勝手だよな。
何様なんだろうね、

ま、事情は色々さ。

子は親を選べないし、親も子を100%選べるワケじゃあないんだし。
だからね、つまり私は今、迷ってるんだな。



「……はぁ…」



もし……、

もし、私が動いてしまったら、一度……“覚悟”を決めてこのまま前を向いてしまったら。

ほんとに、私が未だ他の命を抱えているっていうのなら、ね。

きっと、私は全てを壊してしまうだろう。

壊して、何も感じなくなるんだろう。

思うことはある。

ただひたすらにどうでもいいという、ただそれだけ。
今まで大事にしてきた宝物をゴミのように棄てて、

私が“前”しかみなくなったら、私が自分から動くようなことになったら、

私はきっと、ああ自分でわかってる。

なにせ現時点でも大惨事確定だからな、しかもこれから確変するせ?



……物音がした気がして、一瞬びくついた。
うすぼんやり開けていた目をようやくちゃんと開いて辺りに視線を飛ばす。
……うん、リビング。
フィレンツェさんちの。
部屋には誰もいない、

間取りと周囲を思い出しながら此処から出るルートを考えるけど。

フィレンツェさんに見付からずに出れる気がしない。
かといってまだ、彼に頼る気にもなれない。

………どうだろう、彼は何を思って私を留めたのか。

そういえばガガさんがどうのと言っていた気はする。
とはいえ、軽蔑されようが何だろうが彼女に関しては初めから納得づくだし。

…貧血に唸りながら身を起こして。

無理矢理にでも口角を上げようと思ったら、案外簡単に上がって驚いた。

なんだ、やっぱり私、クソ女だけあるじゃん。
今日からまた、笑っていけるよ、確証はないけど。


逃げるのはやめだ。

まずは“自称共犯者”に挨拶でもするかな。

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04/07(Tue) 12:06
ロビン






(――起きたか。)



僅かに早まった呼吸、心拍。

物音を立てず、私は目を閉じていた。

彼女が眠るソファの背後、背を預け、床にあぐらをかいて。



ぎしり。



小さく軋んだ革張りのソファは、彼女が起き上がったことを私に知らせた。



「身体の調子は、どう?」



きし、



声のする方へ振り返ったであろう彼女の動作と連動して。



「…何してるんですか。」

「何も。」



答えれば、短い小さなため息。

それを合図に目蓋を開け、時計を眺める。

午後6時半を少し過ぎた頃。

大分陽が長くなったな、なんて。

まだうっすらと明るい室内はまさに黄昏時。

夜の闇がこの部屋に訪れるのも、そう遅くはないだろう。



ふと、考えて。



「――プロント。あぁ、ヒマなの?…そう、………いや君が取るのが珍しいなって……うん、話したよ。今居る。………わかった。じゃあ。」



ぱたん。



立ち上がり、彼女の隣に腰を降ろす。

何やってんだって顔は、この薄明かりの中でも見て取れた。



「なんだい、珍しく知りたがりの君が聞いてこないね。でもまぁ一応、報告をしたんだ。君のことを大層気に掛けていたから。」



言いながら、明かりを灯す。

久々の強い光に、眩しそうに目をしばたかせる彼女は何を考えているか私にはわからないけれど。

猜疑心に凝り固まった眼差し。

警戒するのは別に悪いことじゃあない。



「彼女が来る前に、君は彼と話したらいい。今日は学会に参加しているから彼女が来るのは早くて21時過ぎ。彼は今支度してすぐ――…ご到着だ。」


少し後に間抜けなチャイムの音。

どんだけ飛ばしてきたんだよ。



「――開けたよ。」



わざわざ動くのもかったるい。

ディーヴォが私にだけわかるように、それはそれは面倒くさそうにドアに向かった。



がちゃり。



ロックを外し、ドアを開ければやはりこれ以上無いほど急いでやってきたラファエルとご対面、てやつ。



「咲、身体の調子はどう?」

「…………」

「あの薬はもう飲まないで。捨ててくれ。」

「…やっぱり、」

「堕胎薬、なんだ。僕は君に嘘をついた。君の中にはまだ彼の子供が居る。勝手に鑑定して、…ごめんよ。」





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04/08(Wed) 12:27
時世




誰もいないと思ったらいたぜ、フィレンツェさんが。


いや、家主様だからいて当たり前なんだけどね。
つーか、何処にいるのよあーた。
何でわざわざそんな所に。

アレか、一々人を驚かせて楽しいか?

なんて。



「彼って……」



まぁ、なんとなくそうだろうとは思ったけど。
フィレンツェさんが何か言ってるそばからやって来た話中の人、は。
……まあ、ラファエルさんだった訳で。



「堕胎薬、なんだ。僕は君に嘘をついた。君の中にはまだ彼の子供が居る。勝手に鑑定して、…ごめんよ。」



慌ただしくやってきてなんか言い出した彼は、うん、いやね、別にいいよ。

もう、……うん。

なんか謝られたけど。
いや、なんか。
うん……。

やっぱりな、としか。

フィレンツェさんの言った通りだし、却って申し訳ないよ。
しかしその謝罪は何処にかかって、いいや、別にどうでもいいんだけど。



「あぁ……別にいいんです、私が甘かっただけなんですからね。まさかフィレンツェさんが“動く”とは思わなくて」

「…薬は、何回飲んだ?」

「一回……いや、でも吐いたので。だからそんなことより、先生?」

「……、何?」

「重複しますけど、一つだけ確認させてください」



それにしてもなんだこれ。
何で私の隣りにフィレンツェさんが座ってるんだ?

つーか私寝起きなんだが?

顔ぐらい洗わせろよ。
泣いてそのまま寝たから私の顔面凄いことになってるんじゃ?
絶対浮腫んでるわー。



「私って、ほんとに妊娠してるんです?
“居る”の?此所に?」

「間違いなく。……最初に僕の所に来た時にはもう、わかってたんだ」

「もう一回聞きますよ?これくらい嘘つかずに教えて下さいね」

「……8週目だよ。自分で、わからない?」



そうはいわれてもね。



「こんな“茶番”に付き合わせて申し訳なく思ってますが、もう一回だけ聞きますよ……先生?」

「何度だって言うさ。事実君は妊娠している、……彼の子をね」



正直、
今となっては誰の子だろうが構わない。
っていうか2択だし。
最後にしてから血が出たから納得はしてないんだが。
まぁ、だから。

大事なのは“それ”だけ。

私が妊娠中か、否か。
それで私はどちらかを“捨てる”ことになるんだ。
問を繰り返す度に、必死めいていたラファエルさんの顔が怪訝になっていくけれど、まぁ。

……ねぇ?



「いいんですね?」



唐突にフィレンツェさんを見上げれば、気怠そうな彼と目が合う。
改めて眉を寄せることさえしない彼はただ見下ろしてきただけで。

私はまたラファエルさんに視線を戻した。



「“ホントウのこと”を話してくれればいいですから。私、弾けたら強いですよ、色々壊しますよ」

「今はウソなんかついてない。本当のことしか言っていないんだよ」

「じゃあほんとに、
………“いいんですね?”」

「なんだっていうんだ、」

「だって仕方ないじゃあないですか。へらへらしてたって、フィレンツェさんもこういう人だし、先生も仕方ないの、わかってますから」



ニヤ、って。
普通に悪どく笑えたと思うよ?
だってもう、ほんとにどうでもいいもんね。
“それ”以外のことなんてさぁ?

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04/09(Thu) 01:51
ロビン






何かが危険だと思ったのは事実だ。

彼女が繰り返した質問に、僕はただ同じ答えしか持ち合わせていなかったけれど。



そもそもだよ。

そもそも、何で彼女はそんなに何度も同じことを聞くんだろう?

僕は誓って真実しか言っていないし、こんな時までヘラヘラしてるつもりなんて無いし。

彼に脅されたにしろ嘘をついて信用を失っているのは仕方ないことなんだろうけど…それにしたってさ。



「あのさ、…いや、話し合ったんだろ?」

「何をです?話し合った――あぁ、話し合いましたよ。話し合ったというより聞かされたってのが圧倒的でしたけど。」

「君はさ、この状況を正しく理解しているんだよね?」

「恐らくは。だから私は最終確認として――」

「じゃあ“いいんですね?”…って、何?」



何を意図してそう言ったのか、いくつか想定してみた。

でもどれも納得しかねるんだよ。

彼女は真っ直ぐ僕を見て、僕も彼女を見つめた。

その視線は、彼女が答えるまで外させてなんかやるもんか。



「“いいんですね?”って、僕に聞いてどうするの?聞く相手を間違えてるよ。」

「………だから確認」

「市販の検査薬で十分だよ。DNA検査に立ち会うかい?それにね、咲。」



“いいんですね?”って、僕がダメだって言ったら君は一体どうするのさ。



「………」

「決めるのは君だよ。君の中に居るんだから。」

「そんなこと――」

「僕はね、その命は“君が決めるべきだ”と思ってる。待て待て、話聞いてよ。」



そっぽ向きそうな彼女。

フィレンツェはただ静かに俯いていた。

あぁ、彼には辛いかもしれない。

でも見ないフリした。



「一時的な感情や周りの目を気にして産むのは子供にとってゆくゆくは不幸でしかない。どちらを選ぶにしろ、選ぶのは君だしまず1番に覚悟を決めなきゃあならないのは君なんだよ。そうでなけりゃあ僕たちは動けない。いいかい、これだけは覚えていて。独りでなんて、無理なんだ。子供を産んで育てるって。」



気合いや根性でどうにでも、なんて、今は思ってるかもしれないけどさ。

どうにもならないんだよ、これが。

現実は残酷なんだ。





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