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こっそりひっそり。

2人だけの秘密。



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03/24(Tue) 18:12
時世



長く話すと不利なのはわかってる。


特にガガさん相手じゃあ、私に勝ち目なんかありゃあしない。
っていうかもはや勝ち負けじゃあないし。
いや、スデに。

私の一人負け状態。

もう別に、失って困るモノがないっていうか。

もう“いらない”

っていうか?



「今から行きますんで、ちょっと会ってくださいよぅ……ちょっとだけ!」

『どうして。
今のあなたと今の私に、何か関係がある?
こんな時間に、こんな電話をかけて。あなたホントに咲ちゃんなの?』

「いいじゃないですか“知り合い”の好で相手してくださいよ。じゃないと私。
マジで爆弾になりますよ……あ、もういい。やめた」

『諦めるの、そう』

「諦めました。だけどあんまりな廻り合わせに諦めるモノを変えました」



私さえ抑えれば、諦めれば……だまっていれば丸く収まるんだろうし、今までそうやって来た。

だけどさぁ、よく考えたら別にそこまで私が我慢することなくない?

“こわい”モノなんか、もうあってないようなモノだ。

苦しい、つらい、でも死にたいワケじゃあない。
でも死にたくないワケでもない。



「だからね、ガガさんね。
フィレンツェさんの傍にいてあげてねって」

『………』

「…チッ……あーもう、ガガさんムカつく。精々、お元気で」



一方的にハイ通話終了。
こんな時でも交わされて、まぁ多少イラついた。

それだけの感情はまだ、残ってるらしい。

それから、何故自分が不意にガガさんに電話をかけたのか、ようやく。
ああ気付いたよ、笑える。



全部、壊してしまえば、



なんて。

どうせなら、最後に。

でも、難しいもんだね。
この期に及んで私、まだ周りに遠慮なんてしてるんだからさ!!
どうせなら、

フィレンツェさんとの子供がですね!

とか言ってやればよかったのに。
あ、そうだ、カルマさんとこもフィレンツェさん絡みの痴情の縺れだったよね。

泣きついてみたら面白いかな、とか。

よく知らないがドラコ?かいうお兄さんとかもフィレンツェさ………


……別に、フィレンツェさんを追い詰めたいんじゃあないのにな。
ただ、フィレンツェさんの周りを引っ掻き回せば大事になる人が多いからって。
あわよくば、怒って私にキレてくれるんじゃあないかって。

何考えてんだろ、私。


バカじゃないの。

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03/25(Wed) 09:24
ロビン





ガサゴソとラックを漁る音がやけに反響して聴こえる。

もはや見ることを諦めた私は、なんとなく音を拾っていた。

寝転がっているはずなのだけど、どうにも視界が回っていけない。

アルコールと薬の相乗効果とは恐ろしいものだ。

ガブリエルは酒を飲みながら平気で鎮痛剤を飲んだりしていたけれど。



(…まぁ、いいか…)



どうでもいい。

今となっては限りなく関係ないことだし。



「――…あ、」



思わず漏れた短い声は、この直後に鳴り響いた断末魔を予感したから。



(楽器……)



ヴァイオリンたちがいとも容易く事切れていく。

ギターに至っては――オーディオ機材をなぎ倒しつつ見るも無惨に肩が真っ平らとなってしまった。

ご丁寧に弦も6本切れたようで、正真正銘、首(ネック)と体(ボディ)がさようなら。

これが人間だったら、なんて。

無差別大量殺人事件?



…下らない。

別に面白くもなんともない。



「さて、選んできたよ。」



あらかた私の寝室にある大物を破壊しつくしたラファエルは、何がそんなに楽しいのか、両手にCDとDVDを抱え足取り軽く戻ってきた。



「…ごめんね、フィレンツェ。ぬるかったよね。」

「…………」

「キミの大事なモノを壊してみたんだけど、足りないよね。」

「…フ、中古…だし…」



全部合わせても精々新車が買えるくらいだ。

ただ、貰い物のサックスは少し効いたけど。



「だからね、考えたんだ。キミを突き動かすのはそもそもこの世にもう居ない人たちばかりだろ。」

「…………」

「だからコレかなって。」



CDもDVDも、フィオナのものだろうと思っていた。

それらは実際そうだったし、意外なことにきちんと廃盤になっているモノや彼女が有名になる前のモノをきちんと選んできていた。

もう、いくら積んでも手に入れられない。



「まずは――」



1枚1枚、タイトルを読み上げて真っ二つに。

思い出が、彼女が。



「酷い女だ、キミを縛り付けておきながら彼女は勝手に死んだ。」

「…………」

「ツラいのは彼女じゃあない、残されたキミだっていうのに。」



――パキン。



「彼女は生きることを選ぶべきだった。君を本当に想うなら、声を代償にすることなど安かったはずだよ…」





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03/25(Wed) 15:05
時世


走行中の車の窓から、プライベート用の携帯を投げ捨てる。

私の仕事用は諸事情によりボス直通のホットラインなんだぜ。

もち特別製。
多分位置は筒抜けだから、変なとこに捨てたら捜索されそうな勢いだから、こっちは投げない。



「……あーあ、つっまんねェ
ーなぁああああ!!」



いきなり叫んだけど、運転席は相変わらずの沈黙。

成る程、弁えてる。
若いのにいやなカオ1つしないなんて、出来たイタリア人だな。

しかし、それにしたって私は。



私は何がしたいんだろう。



肝心な“ソレ”がわからないんだよ、もう。

皆が恙無く、笑っていられれば、なんて。
けど、私はこれ以上耐える気がない。

でも、だからといって目的はない、望みがない。

多分、私はただ、そう。

子供が欲しかった、昔から好きで、けど。

私の“男”は、事実婚の旦那様は、リゾットは。

望まない。

その時点で、きっと、何かか、少しずつ。


……私はもう、リゾットの傍にいたくない、んだ。


と、思う。
……ああ、また気持ち悪くなってきた。

車を止めさせて、中身はとっくに空のハズなのに止まらない嘔吐感と戦う。

“流産”だって。

気持ち悪さは悪阻だった、そしてじゃあ今のコレは精神的なモノだろう。

子供、居たんだってよ。

此所に、……でも“あの人”の子でなくて、

良かったな、って。

それから、なんだか、ほんとうに今更。

知らずに流れたという子のことを想って、泣いた。


泣けた、やっと。


それだけしか思わなかった私はどうかしている。



「……ごめんね、帰ろうか」



一頻り外で泣いた後、車に戻って。
運転手君はうたた寝していて、ちょっと可愛くておもしろかった。
それからまた、
いや今度はアジトじゃあなく私の“家”に送って貰って最後に。



「上がってく?」

「結構ですトンデモナイ」

「そう?
じゃあこれ、あげるね。
グラッツェ!」



携帯も財布も、そういえば残りの薬も入れっぱなし、のバック丸ごと。
彼に投げた。

何か言っていたようだけどどうでもいいね。

彼ら、ああ皆、

皆が“好き”だったよ。

今だって別に、

“嫌い”じゃあない。

私のその枠は常に一人分だし、ここまでじゃあない。



ただ、どうでもいいんだ。



自分も含めて、好きとか嫌いとか。

……もうね。

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03/25(Wed) 16:00
ロビン






「悲劇のヒロインになるのは簡単さ。それでいていつだって主役を張れる。」

「…ラファエ……」

「キミだってそうだよ。僕はキミが大嫌いだ。…でも。」



パキン。



「…でもさ。」

「彼女は“ディーヴァ(お姫様)”だ…常に主役は、…う…ん、1人なんだよ…」

「でもキミだって“ディーヴォ(王子)”だろ?」



パキン…



「僕はね、勉強しかしてこなかったしこれと言って悪さもしなかった。でも誰かの期待には答えたいって、いつか自分に自信を持って生きたいって思ってるよ。」

「充分だろ…」

「あぁそうだろうね。親のスネもかじりまくったし何不自由なく生きてきたし。でもね、」

「待てよ、何の――」

「…いいから、聴けよ…」



――バキンッ!!



「…乗り越えるものはそれぞれ違う。キミは、何をそんなに諦めてるの?」

「は…あき…」

「覚えてるんだ。いや、思い出した。“アルバム”」

「………?」

「ミランダの時だって、キミはいつも諦めてた。ヤケ起こして。冷静でイカレたフリしてさ。渦巻いてるモノを全部押し殺して。」



ガシャン――



「すぐにはわからなかったけど。…リゾルートの二の舞じゃあないか。」


…リゾルート。

今は名前を出されただけで。

こんなにも隠しきれない。

嫉妬と、僅かな殺意。

羨望――



「子供。まだ間に合うんじゃあない?」

「馬鹿言うな――」

「パッショーネが怖いかい?」

「ガブリエルは、」

「表舞台は彼女の1人勝ちさ。」

「守りきれない!」

「キミだけの彼女だと思うなよ!!思い上がるな!!」

「じゃあ守ってやれたのか!!?」

「“キミ”を知らないのに出来たわけないだろ!!?キミは僕に白状したのか!!?何も語らなかったクセに期待すんなよ!!咲にもそうだ!!彼女の話を聞いてやったのか!!?キミのこれまでを知ってたか!!?責める気持ちはあるクセにお高くとまって見下して、本当にイラつくったらないよ!!」



………なんだよ。



「話せるわけ、ないだろ…」

「聴けるわけもないって?あぁ、そうだろうよキミは彼女の一言一句に震える程ビビってるんだからな!!」





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03/25(Wed) 20:25
時世



朦朧として、でもシャワーは浴びて。


そういや処置はしたつもりなんだけど臭かったかな、車の子、大丈夫だったかなぁ、な、ん、て。

自分のベッドでうつうつしながら考えた。

いま、何時だろう。

明日、いや今日は、何かあったっけ、なぁあ……?



「しにたいわー……」



なんちゃって。

言いたいだけ、たぶん。

だって頼めば、彼らのうちの誰かはやってくれるだろうよ。
それでなくとも死ぬ方法ならいくらでもある。

その気になればね。

つまり私はまだその気じゃあないんだろうね。
逆に、殺すと言われてもあぁそうとしか思わないんだろう。

大人しく殺されるかは兎に角として。



「しずかだねー、」



独り言っていっても、散々っぱら吐きまくったせいで掠れていて、この闇の静寂にも響かない。

眠いのに、眠れないまま。

思考がどんどんとりとめなくなっていく。

私がどうする“べき”だったのかはわかる。
でもそう出来なかった。
それは何故かっていったらさ、それがさ。
“愛”なんだろうよ。

くだらない。

私は“今”どうするべきなのか、どうしたいのか。
わからないし、どうでもいい、繕うのはやめる。

……日本に帰る機会は、っていうか帰ったんだがリゾットが。

いや、でも、結局今イタリアに居るのは、私がそれでいいと決めたから。

“選択”したのは私自身。

甘く見てた。
“妥協”を許していては『後悔しますよ』と、確か言われたんだ、私。
リゾットが“必要”とする限りはこのイタリアで生きていきたいと、言った時。

はるかに年下の少年に、言われたんだ。

私は笑っていた。


まあ、どうでもいい。


好きにすりゃあいい、私のことなんて。
馬鹿な女だよ、今更。

いつだって、そう。


今更、今更、今更。


なんだって後から、……。

………“薬”も…そうだ、ノリで鞄ごとあげちゃったけど貰いに行かなきゃあ。
日が昇ったら、ラファエルさん……、でも今更なぁ?

なんのために飲むんだ。

私の体の為ならいらない。
……なんていうと、間接的自殺願望みたいだけど。

ああガガさんも、ハハ、馬鹿だよ私も。

酔っ払いだと思ったかな。
私の電話に“何か”感じてくれたらいいな。
それでフィレンツェさんに連絡でもつけてくれたら、めっけもんだ。

まあ、私はそれほどの人間じゃあないから過度な期待はしないが、あんな電話したらば。
きっと多少は気に障ってくれてると思うんだ。

……フィレンツェさんは…まぁ、あの人は大丈夫でしょうよ。

だって“あの”フィレンツェさんだものな。

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