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こっそりひっそり。

2人だけの秘密。



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03/20(Fri) 09:28
時世




「変えたのか?薬」




ぐごっブッ………!!?

ちょ、薬飲もうとしたら気配なく…ッ!
メローネッ!!
ふと見たら真横に美形のドアップとか吹くわバカ!!


「ぐぇっ…ごほっ、こほ、な、なに、」

「だから、薬。市販?」

「あ、あー、変えたよ。相変わらず目敏いね」

「フーン」


聞いてきたクセに興味なさげに、彼は私から離れてソファに行った。
なんか此所(アジト)でメローネ見たの久しい気がするんだが、そっけないなぁ。

っていうか職業柄なのかどうでも良いことまでよーく見てるよね。
興味ないような風体でも、よーーーく。



「リゾットに用があったんだが、まだ帰ってないみたいだからな」

「うん、なんか最近イライラしてたし、大変そう」

「ちゃんと抜いてやってるのか?レスは致命的だぞ」

「ぬ……っ!
いや、私が吐いても平気で続行して勝手にするんだけどアイツ、そのうちスカとかにいかないよね、リゾットの頭が心配」(真顔)

「あんたも言うようになっちまったなァー」

「そりゃ君と話てりゃいい加減スレるわ」



いつも通り、くだらないやりとりをしながらメローネは雑誌を開いて。
私も口を閉じて、終わり。
取り敢えず下手なコーヒー淹れてあげて、私は自分にあてがわれてる部屋に帰ったーーーいつも通りに、出来たハズ。



「(子供…かぁ……)」



ラファエルさんの病院に、行ってきた。

そしたら、なんか、妊娠の検査なんてされた。
病気だと思うのに。
渡された薬は貧血のものだけど、

……あんなこと言われたら、気になるよ。

メローネに会っちゃったからなおさら、さ。
っていうか“諦めた”のに。
なんで、今更。
そしたら、血ィ出た後だしリゾットの……でもアイツがそんなヘマするかな?

いや、そもそも。

実際、まぁ仮に、ほんとに妊娠していた、として。

っていうかフィレンツェさん、そういえば…………あの反応、……。
あー、彼だったら気付いててもおかしくないワケか。
実際彼の“聴力”が何処まで良いのかは知らないけど。

だったら限りなく私は、妊娠してる可能性が高いっていうか確定じゃあないか?



「(…………)」



幸い、数ヵ月前に根回ししたけど用済みキャンセルした日本行、が最悪切り札としてはある。
ジョルノにもう一度……
嗚呼、畜生。
待ってくれよ。

どうして。

なんで。

今更。



「……勝手、だなぁ……」



もう、一生。
一人でも良い“此所”で生きて、死のうと。

……思った、のに。

あぁ、フィレンツェさんに次に会う時、どんなカオすれば良いんだろう。



「……………っ、」



急に、さっきまでの好調どこいったって感じの猛烈な吐き気に襲われた。
そして、誰かがやってくるまで、トイレで蹲るハメになって、

なんか、泣いた。

全部が全部馬鹿らしくて。

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03/20(Fri) 10:11
ロビン




「――チャオ。賑やかなお出迎えグラッツェ。」

「確信犯か、タチ悪い…」



まぁそれこそ盛大な“音”で出迎えられた私は、どうやらアジトに独りきりの彼女を一応心配したわけだよ。

今日は珍しくいつも入り浸りのホルマジオ君も居ないらしく。

リゾット君も最近直々に任務に出ていることが多いようで。



「あぁ、これは失礼。私に構わずどうぞ続けて。」

「出来るか髭め…!」



出会い頭は青かったが、今ではもう赤い顔して。

今日も今日とて彼女の顔面は小忙しくくるくると表情が変わる。

トイレのドアをノックして、開いたと思ったら泣き顔の彼女とご対面だったのだけれどね。

なにも、取って喰うわけじゃああるまいし私の顔を見るなりそんなに心拍数を上げなくてもいいんじゃあないかと。

うん、そう思ったわけだ。



「ほら、イライラすると具合悪くなるぜ。聞いたよ、貧血気味なんだって?」

「…………」

「いつかのガブリエルみたいだ。…点滴なら連れて行ってあげようか?」

「結構です。」

「おや、今日はなんだか“冷たい声”だね。」

「…………」

「…まぁ、いいけど。」



何か確信があって言ったわけじゃあないが、諸々の事情を知る私はやはり最終的に“確信犯”なんだろう。

フラフラと部屋に向かう彼女の背を見送る私は、それでもまた心配になって耳を澄ます。

私が彼女を心配だなどとちゃんちゃらオカシな話だがね。

階段を上がる足音。

時折苦しげな息遣い。

衣擦れ――



(……やっぱりアウト。)



嚥下やまばたきが聞こえて、それから。

こっそりディーヴォを出して感度を上げれば離れても聞こえてきた“あの音”

メトロノーム、210前後。

小さく、早く、低く、籠もったような音。

暢気に“ティンパニをピアニッシモで演奏したらこんな音じゃあなかったか”、だなんて一瞬考えて。



(――…、勘弁してくれよ…)



音を追う度、日に日に少しずつ力強くなっていく。

微妙な変化に、彼女は気付いているだろうか。



「…いいなぁ……」



独りきりで過ごすには広すぎるリビング。

私の下らない独り言は、反響すらする事はなかった。




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03/21(Sat) 00:26
時世




最悪のタイミングで最悪な人が来やがった。



弱って、籠って、無防備にしてたとこに顔を覗かせたフィレンツェさんーーーー

ちょっと被食者の気持ちがわかった気がする。

なんでこんな気分になるのかはわからない、が。
罪悪感?まさか、負い目はあるにせよ。
……いや、ほんとは解ってるんだ。
わかってて、それでも私はこんな、なんだ。



「髭め……!」



いつも通りの悪態はつけるさ、虚勢は張り慣れてる。

どんなカオして、と思ったけど実際会ってしまえばどうにかなるもんだ。
“いつも通り”のやり取りをして、私は早々に部屋に逃げ帰る。

逃げたよ、ああ、悪い?


『聞いたよ、貧血気味なんだって?』


フィレンツェさんはそう言ったよ。
“誰に”なんてラファエルさんしかない。
そしてラファエルさんは隠すか?検査のこと?
フィレンツェさんはわざわざ“貧血”だと、
そして“聞いた”と私に言った、カマかけてんのか何なのか。

何にせよフィレンツェさんは“知っていて”言ってるんだと思うね、やっぱり。
さっきので確信した。

私、ーーーーーきっと。

今思えば病院を取り持った時点で彼は………ああ、彼は。


何を、思って。



「………あ」

ふと。
頭を掠めた思考。
私は、なんだか、ほんとに都合が良いことに、フィレンツェさんは“大丈夫”だと勝手に、思ってて…でも。
……逆、だ。

私に子供?

リゾットが許すワケがないんだ、そしたら、そしたら……管理、出来ている方が良いし、
リゾットに何か仕出かされても彼らは困るワケで、



「ちょっと、さっきからホントに大丈夫かい」

「うわなんか来た」

「…何かあってもイヤだからコレ、外しときなよ。下にいるから」

「いざとなったら転移するんで何も起きませーん」



バランスを崩して、掴まってた椅子の背を押しやって倒してしまったら。
フィレンツェさんは様子見にくるし、鍵は見咎められるし、ああもう……。

ドアの向こうで、どんな面してるのかね。

いや、待てよ。

フィレンツェさん、ああ、そうだ、彼は
“これは”知らないか。
なら、私も、知らないフリを、能天気に、この期に及んで何も気付いていない、

あぁとにかく。

時間が、必要だ。

時間稼ぎを、

“結果”が出るまでは何もおこらないだろう……今は。
ソレを聞くの来週だし、



「……あ…、フィレンツェさん?まだ、そこにいます?」



………何を馬鹿なことを。
ドアの前にいてもいなくても、どうせ彼には聞こえているのに。

……なんだろうね。



「まあ、いっか」



どうでも。

体調もよくないし、もう、寝てしまえ。
ラファエルさんのことは信じてるから。
確信してからで良い、……フィレンツェさんに話すのは。



どうせ何を言っても、彼らには無駄なんだから。


フィレンツェさんだって、どうせ同じだ。

わかっているけど、私なりのケジメだよ。

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03/21(Sat) 05:39
ロビン





椅子の音も悪態も、まぁ聞こえてた。

で、心配してみればアレだし。



優しくしてやろう、かな。



って。

気が向いただけのいつもの“気分”だ。

私はどうやら気分屋らしい。

そのつもりは無いのだけど。

いつでも優しくしてやろうと思ってる。

私に害が無ければね。



「…………、ん?――」


胸ポケットで唸るバイブレーション。

ディスプレイを確認すれば。



「…………」



お待ちかね、と言うには気が重すぎる。



「――…プロント?」




*****




「チャオ。結果、出たよ。」



気が重すぎる休日。

僕は実家の自室に籠もって作業していた。



ホントはね、色々考えたんだ。

犠牲になるルートだって考えた。

ただ、アイツはそれこそ執念深い。

よく考えてもみろ、チョコラータのことだって。

アイツはヘラヘラ笑いながらずっと、何年も段取りを組んでその機会を窺っていたじゃあないか。

確実に殺る。

アイツは、やると断言したらやる男だ。

フィレンツェのバックにはパッショーネ。

僕のバックには財団。

規模からしてこちらが有利に思えるが、決してそんなことは無い。

だって、死んだら負け。

殺したら勝ち。

お互いそういう風に出来てるんだから。

僕の大事な人を、静かに、一人ずつ。

沢山居るよ、僕には。

ガガとの関係性だって危うく成りかねない。

嘘をついて助けることも。

結局は、意味が無い。

最初から僕には後が無かったんだ。

無情なチェックメイト。

彼を、もう止められない。



「――来週来た時に薬を出すよ。」

『それはどういう?』

「…堕胎薬さ。」

『………そう。』



グラッツェ。



思わず握りしめたロザリオ。

切れた電話の向こう。

願わくば、罪無き命に懺悔していてくれることを祈るばかりだよ。



「…最低だ。」



決断したのは僕だったんだけどね。





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03/21(Sat) 09:12
時世



アレから数日。


色々考えたんだ。

色々ね。

あらゆる可能性をね。

それで私は痛感したワケだ自分の無知を。
なんで“あんなこと”やらかせたのか不思議な程に、無知なワケだ。

私は。

私には“彼らが”私に必要と判断した情報しか入ってこない。
それでいいと思ってたよ、私もね、今までは。

だから今、苦戦している。
調べたいのに、調べられないんだ。
情報が足りない。
女だけど、 妊娠についてなんてはるか彼方の学生時代の、保体の知識しかない。

携帯電話やパソコンで検索……駄目だ、バレる。

諜報の知り合いに掛け合えば隠蔽してくれるだろうけど、必然アッチには何調べたかバレるワケで。
街中の本屋で立ち読み?
いや、すぐ話回るよな。
変装?いやいや余計怪しいし、遠出との会わせ技……もバレた時いよいよ都合が悪いよなぁ。

自意識過剰だろうか?

そうかもしれない、だが実際調べられたら一発だ。
フィレンツェさんにバレているとなると、もう、何をしても逃げられない気がしてくる。
あの人、なんだかんだ万能だから…………

あぁ小細工すればする程、バレた時苦しくなる。

女の子の知り合いに聞くのも考えたけど……トリッシュ…いや、いやいやダメだろ、彼女十代だし!
ガガ…さん………………や、

いや、駄目だろ、うん。

となると、……ラファエルさんに聞くしかないんだろうか、あまり迷惑はかけたくないのだけれど。
だからといって他の医者とか………



「……太ったな………」



もう、色々辛くて自由になる時間はずっと横になってるけど。
ふと鏡をみて思う。
いつまで、なら。

“騙せる”だろうか、

………なんて。

多分みんな既に訝ってるんじゃあないか。

妊娠を確信してから俯せ寝はしないようにしてる。

重いものは、今まて少し無理してでも自分で持っていたけど、他人に押し付けることにした。

食事も、気を付けてる。

テンプレな対応しかできないけど、



「…………」



携帯を閉じて、開いて。

まだ、迷ってる。

リゾットは今忙しいのか私の体調不良に突っ込んではこないし、私も遭えて彼には言わない。
よく会うホルマジオにはかなり強がって平気なフリして見せてるけど、

っていうか。



「騙してる、んだよなぁ」



彼らを。
でも、彼らだって。
なんて、言い訳にしかならないんだがね。

誰だって自分が一番大事。

自分の望みを通したい。


『こんにちは。
明日、病院行ってきます。
帰り迎えに来て下さい』


打ち込んであるメール。
フィレンツェさん宛。
これじゃあダイレクトすぎるだろうか。
病院から出てきた女、迎えに来た男、
……考えすぎか?

それとももう、『ごめんなさい』とか爆弾投下して国へ逃げてやろうか。

何もかもを捨てて、裏切って、そのまま。



『明日、迎えよろしくお願いします』



……無意識にお腹にやっていた手を握りしめて、私は、信念と願望を秤にかけた。

そして結局、送信ボタンを押したんだ。

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