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こっそりひっそり。

2人だけの秘密。



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01/03(Sat) 05:11
ロビン






(彼女が近々君を訪ねて来る――)




「………クソ、」



僕は、彼女が好きだ。

多分。

少なくとも知人だなんて寂しい間柄だとは思っていない。

僕がカードを託すのは、仕事でやむを得ない場合を除いて“特別”と判断した場合のみ。




「……もう、どうしたら――」




フィレンツェが帰ってしばらく。

僕は大人しくベッドに横たわり、先程聞かされた有り得ない話を思い出していた。

嫌でも思い出してしまう。

有り得ないハズの話が、妙に冴えた頭の中をぐるぐると這い回っていた。



(彼女は、恐らく妊娠している。)



…なんでだよ。

そりゃあわかるよ、ネエロの女だもん。

ネエロの子供だったら話はわかる。



(万が一、違った場合には“無かったことにして欲しい”)



「…………、」



(万が一って、)

(女ってのは怖いね。だから“嫌い”だよ。)

(待って、意味ががわからない!)

(わかるだろう。性教育を受ける前のガキじゃああるまいし。)

(そうじゃあないだろ!違うよ…そうじゃあなくて…)

(“誰に可能性があるか”って…?)

(……その…)

(…“またか”って、思ったよ。正直私を傷付けられるのはもうガブリエルだけだと思ってた。)

(なに…話がちっとも見えない…)

(私を“誰かの代わり”にしたのは母親とガブリエル、それから“彼女”で3人目だ。)

(お、おいまさか――)

(リゾルートのクソッタレ野郎とね、私が似ているから…)

(え?ちょっ――…え?なんでリゾルートが、)

(“彼女”はリゾルートにお熱ってわけさ。)

(じ、じゃあ、)

(もうわかったろ?“身代わり”にされたかもしれないんだ。…私が、ね。)

(う、嘘だろ――冗談じゃあない!!オマエ僕の気持ちを知っててよくも!!)

(オイオイ、逆恨みはやめてくれ。選んだのは彼女だ。それに誘われたら男なら誰だって乗るだろう?私だってそうしたまでのことさ。)

(信じられない!どうかしてる!)

(…もっとも、ケツモチはしてあげるつもりだけれどね。)

(それなら、)

(ただ、騙された身としてはね。トラウマ抉られた私の感情だってまだ生きてるわけで。)




「………クソ…」




アンドロイドみたいな冷たい瞳は、決して色のせいだけじゃあないんだろう。

そう思った。





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01/05(Mon) 09:18
時世




月穢由来の不調だっていうのなら、いいんだよ。


まぁよくあることだ。

でも、こう長引くというか、しつこいというか。
いっつっまっっっでも!
こう体調悪いとかなにこれこわい!ってなる。



「うーん……」



ベッドの上でごろごろしながら、携帯を開いたり閉じたりかぱかぱやって。

うだうだしながらずっと唸ってる。

だって起きるとぐらぐらでうえーなるんだもんよ。
もう、繕うのも一苦労、いきなり吐き気が襲ってくるし、もう、辛い!

どうせ大したことはないんだろうって、もう少し転がってりゃあ治るんだって。

そうは思うけど…………

なんか、……なんか。
ちょっと、なんか……さ。

いやほんと変な病気だったら、ううん、それより……いや、いやいや。

ない、ないないない。

とにかく。

もう少し様子を見るべきなのか、それとも………



「うぅー……」



っていうか病院行くにしてもやっぱフィレンツェさんに一報入れるべきなのか、勝手に行ってもいい気もしないでもない。
でも、万が一変な病気だったりしたらば誰かにバレたら確かに。


めんどくさい。


リゾット、主にリゾット。
アイツ気がつくと私のスケジュールどころか会話内容まで知ってるんだけど。

だから下手な医者にかかれないしそしたら必然ラファエルさんになるワケで。

そしたら、やっぱりフィレンツェさん経由の方がいいんだろうな、うん。


―――――――よし、


行こう、とりあえず、行こう、病院。

もし、……もし“なにか”あったらその時は。

………その時は、その時。

いや何があるワケもないんだけど、もしかだから。

うん。



『今死にそうって訳じゃあないけど、やっぱりなんかこわいんで行きます……。
私の時間は融通利くので近々で予約お願いします!』



あと挨拶とか入れて。
……敢えて“何処に”とは入れなかった。

まぁ、メールも危ないし。

送信して。



「返信早ッ!!」



こんな時間に起きてたのかなんか返信が即効だった。
なんとなく安心して、私は内容も読まずにその日はそのまま、それこそぐっすり寝てしまったワケなのだけれど。

……ちょっと、今回の体調不良なめてた。

ナニコレ、此処、地獄?

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02/01(Sun) 23:00
ロビン





予約が入った。

本日午後イチ、わざわざ患者さんが居るのに無理やりねじ込んでやった。

なんでかって?

なるべく慌ただしく見せたいから。

そうすれば彼女に掛かる時間が短くても変に勘ぐられることはない。



診たくないんだよ、本当は。



僕の立てたプラン。

内科の診療をしつつ妊娠の可能性を調べるため内診をし、DNA検査に回すための検体を取る。

しばらくは貧血の薬を出して、再度来た時に、DNA検査結果の内容により流産していた、もしくは妊娠していたと知らせるという医者の風上にもおけないことをするわけだけれども。

父親がネエロであってくれれば問題ない。

ただ、そうでなかった場合は流産していたと言った時に処方する薬で堕胎に持って行くという流れ。

つまり、流産していたと嘘をつくことになる。

本当は、妊娠なんてエコーでわかるんだけどね。

体調不良を訴えても妊娠に気付かないくらいなら、きっと初めてのはずだ。

内診に持ち込んだ所で違和感に気付く事は無いと見える。



生かせるとしたら、ネエロの子供であることを願うばかりだよ。



僕は天秤にかけたんだ。

自分の大切な誰かの命と、生まれてくるはずであろう命を。



罪悪感なんて、それこそとうに捨てたと思っていた。

寄越される死体は躊躇なく実験に使うし、僕は案外ビジネスとして医療に携わっている。

誰かの命を救うことにしたって、それは僕の医者としての地位やプライドや自分自身の価値を守るためだった。



今更、何だって言うんだ。



「――先生、」

「…あぁ、うん、何?」

「やだなぁ先生、またぽやんとしちゃって。午後の診療始まりますよ。」

「…あーあ、始まっちゃうのかぁ…」

「どうしたんスか?いつものやる気満々、子供とお年寄りのアイドル“ラグーザ先生”は?」

「あのねぇ、僕だってゆっくりのーんびりしたい時だってあるの。しんどいの。」

「へぇ、癒やしの天使ともあろうお方がねぇ?」

「僕は本人じゃあありません!いいからさっさと戻るよ!」

「了解っス!患者さんご案内しちゃってもいいっスか?」

「もうバンバン回して!ガンガン捌いてやる!」



袖をたくし上げて、聴診器を首に引っ掛け、僕は診察室へと向かった。




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02/03(Tue) 08:30
時世




予約はすんなり通った。



っていうか、いや、見た感じ忙しそうだから無理矢理捩じ込んだっぽいっていうかこれ。

知り合いだからって無理してくれたんじゃあないか止めてくれそういうの罪悪感パないわ………ッ!

フィレンツェさん変なこと吹き込んでないだろうな!



「アレ、あー……何て読むんだコレまぁいっか」

「(聞こえてるぜ看護師さんよ……)あ、すみません多分私ですアラヤマです」



こういうとき日本語の偉大さを感じる、ふりがな万歳。

………ラファエルさんの病院の、待合室で悶々としてたらこれだ。

まぁ、今日はわりと体調がいいし幸いこの病院の臭いは大丈夫だったっぽい。
大きな病院だと空調のせいなのか何もなくてもはきそうになるからな…。

とにかく診療室に通されて…………うおぉお正式に患者として病院とかいつぶりだし!



「こんにちは、なんかすみません…」

「何が?ハイ、座って。
吐き気とかだって?」

「元からですけど最近ひどく貧血っぽくて……えぇ、何より吐き気が」



真っ当お仕事中のラファエルさん久々に見るわー…←

まあ、その後は。

服捲ったり口に突っ込んだり目を下げたりと、一通りのテンプレ内科検診。
いや、うん。
それはいいよ、あとどうせ血液検査もやるんだろ?

注射嫌い。

…………じゃあなくてッ!



「内診?」

「うん、一応ね、一通り調べてみよう」

「え、診察ってこれのことじゃあ……」

「え?」

「え。じゃあ内診って何やるんです……」

「え。」

「え?」




―――――――いや、

いやいやいやいや無理ッ!

え、ナニ内診ってそんなことするの!?無理!!!

無理無理無理無理ッ!!



「先生は先生で先生だから先生はアレなんでしょうがちょっと初めての人間にはハードル高いんで何か別な方法ないですかそこまで覚悟決めてません…!」



ノンブレスで言ったらいっそ呆れた顔された件。

そりゃ、医者だからなんともないだろうがこちらにも心の準備というものが……



「じゃあ決めて。決めなさい。君は何の為に此処に来たんだい?」

「いやでも、妊娠なんて調べるまでもな……そりゃ、体に合わないんでピルとかは飲んでませんけど……」

「………他の病気も調べられるんだから。それに患者さんつかえてるんだ、ほら返事!」

「あぁ…う………はい…先生……」




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02/03(Tue) 15:17
ロビン





「そんなに構えられると困っちゃうなぁ。」



診察室の備え付けのベッドに横になった彼女は、首筋まで真っ赤になって、更に顔を両手で隠している。

毛布で覆われた下半身は別として、鉄壁の防御。

…だとでも思ってるんだろうが、まぁ、気にしないけど。



「入れるタイプのエコー使うけど、見たい?ほらこんな、」

「なんたる辱め…orz」

「人聞き悪いな、神聖なる医療行為だよ。それとも棒状の器具に何か思い当たる節でも?」

「あ り ま せ ん !!」

「あぁそう?」



キョクシを嵌めて一言声を掛け、毛布をめくり上げる。

途端に彼女の身体は強張った。



「…咲、もっと開いて。」

「う、うぅぅ…ラファエルさんがハレンチなこと言う!!」

「心外だなぁ。僕は優しいって評判なんだけど。」

「??」

「無理やりはしない主義なの。…ハレンチって“そういう意味”で言ったんでしょ?」

「ぬ゙、」

「自分から話振ったくせに、まぁいいけど。でもホント、これじゃあ診れないよ。ほら頑張って。良い子だから、ね?」



もう苦笑いするしかない僕は、なるべく彼女の緊張をほぐしてあげたかった。

そうすることで、少しは罪悪感から逃れられる気がしたから。

ベッド脇に屈み込んで、目線を合わせながらなんとなく頭を撫でて。

大丈夫、任せて。

そう言うと彼女は数秒後、観念したらしくゆっくり身体の力を抜き始めた。



「じゃあ、入れるからね。痛かったらすぐ教えて。うぅわ、小さい。入るかな…」

「うわあああん!!」



医療用潤滑剤をかけてゆっくり挿入すると、ものの見事に妊娠していた。

ただ、素人目には小さすぎてわからないだろう。

何週分かサバを読んでおくことにして。



「…咲、見える?ここが子宮なんだけど、まだ何にも見えないねぇ。ちょっと角度変えてみようか。あと子宮外妊娠の疑いもあるかもしれないから――」

「もっ、もういいですっ!!」

「ダーメ。暴れないで。」



勝手に起き上がろうとした彼女。

椅子に座っていた僕は彼女の脇に手をついて。

ほらみろ、近くなっちゃったじゃあないか。

どう責任取ってくれるのさ。



「…暴れる子には、お仕置きだよ?」

「ご、ゴメンナサイ…!!」

「Well done!」




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