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こっそりひっそり。

2人だけの秘密。



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04/25(Fri) 11:58
ロビン







「…………」

「心配かい?」

「…あぁ、まぁな。」

「そう。」




彼女が部屋を出て。

その背中を見送るリゾット君の心配そうな横顔。

声を掛けたはいいけれど、なんとなく。

今更罪悪感なんてものは無い。

ただなんとなく。

何故だろう。

彼を応援したい気持ちはあるのに、どこかでほんの少し“壊れてしまえばいい”と考える自分も居る。

何故だろう、わからないけれど。




「…疲れているんだよ。」

「確かに。疲れているのかもしれない。」

「本当は甘えたいんじゃあないかい?」

「まさか。――いや、どうなんだろうな。わからん。」

「そういうモノさ、自分のことってのは目が曇るからね。人のことはわかるのに。」

「あぁ…」

「“自分の背中が見えないのと同じ”なんだよ。他人からはよく見える。」

「…そういうモノなのかもな…」






*****






「返せよ。」




リゾット君は執務室へ。

することが無くなった私は今、休んでいた彼女へ紅茶を運びついでに一言そう言って。




「か…勝手に入ってくるとか――」

「君こそ勝手なことをしないでくれるかい。どうせ“持ってる”んだろう?それとも既に誰かへ?」




彼女が寛ぐベッドの脇。

サイドテーブルにトレーを置く。

ついでに椅子を引き寄せて、彼女と対面するように前屈みに腰を降ろした。

ノックもせずに入ったのだから当然彼女は驚いていたが、それが狙いなのだから仕方がない。

この手の人間は揺さぶらないとね。




「…………」

「…なんだい、にらめっこでもするつもりか?」

「………っ、…」

「“バラす”ぞ。」

「なッ…――」

「私はどこへでも逃げられる。逃げ切る術もツテもある。……が、君はどうかな。」

「ち、ちょっと待っ」

「待たない。」

「待ってよ!」

「…じゃあ、少しだけね。聴いてあげるよ、君の話。」




我ながら意地が悪いなぁと思うのだけど。

こうでもしなけりゃあ、素直じゃあない彼女は素直に言わないから。

それでも正直に話すかどうかはわからないのだけれどね。

だからこちらも“予防線”を張ったんだ。

話は聴くだけ。

何が何でも返してもらわないと。





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04/30(Wed) 11:55
時世



落ち着け、………落ち着けよ、気圧されるな。

そんなリスク犯すわけ……ないんだから、彼だって。

メリットもなし。

そう、………そう!!

しかしそもそも彼が、よもやフィレンツェさんが!

こんなことを言い出すことすら……想定外なんだよ、こっちは。



「待って下さい、あの。
なんです、……あの、私あんまりよく“覚えてない”んですけど、なにか、
……そこまで怒らすこと…ありました…?」



合わせていた視線を、一旦反らして。
それからもう一度合わせてちょっと下手に出てみる。

しおらしくはしないけどな断じて。
怯んだら負けな気がする。


嘘も言ってないし。


“正確には”覚えていないし……何処までが現実だったのか正直わからないし、実際記憶が飛んでるとこもあるんだから。

あからさまに機嫌がよろしくないフィレンツェさんの顔色を窺いながら、言葉を選んで。



「……、傷は。
もう、どっかバラまいちゃったからありませんよ」

「ヘェ、“覚えていない”のに周到だね」

「“結果”は跡でわかるけど“過程”は知りませんもん。つーかもとを辿ればフィレンツェさんの、」



いつもはなんでもない距離なのに、十分余裕があるような距離なのに。

ふと、気まずさを覚えて言葉が喉につっかかる。

でも。



「フィレンツェさんが止めればそれで良かったんじゃあないですかね」



真に受けることはないよ、薬沙汰の人間なんて。

言いたいことは他にあったはずだけど取り敢えず無理矢理言葉を繋いだ。
責任転嫁するつもりはない、初めてじゃあなし彼を責める謂れはない。

あぁ揺さぶられるな、しらばっくれてるのがバレたら地雷だ、爆死する。

いつも通り、いつも通りの調子で、切り抜けなきゃあそれでなきゃ、


“落としどころ”を探さなきゃあ。


大丈夫、私は感情的な“馬鹿”だからね、それは彼だって知ってるはずだから。
適当に、テキトーに…いやこれで彼が本気で問い詰めているなら火に油かもしれないけれど。

フィレンツェさんがこんなことで本気になるとは私には思えないし、



「…私が聞いているのは」

「“関係ない”じゃないですか。私が勝手にやらかしたんですよ、私が暴発するのなんてフィレンツェさんよくご存知でしょう」



――――解ってて、意味を取り違えてるんですよ。
しらばっくれてるんですよ私は、的を射ない応え。



「大体、何で今、こんな所でする話じゃないじゃあないですか……!」



なんだっていうんだ。

傷も痕もない、フィレンツェさんにデメリットなんかないだろう?

彼は“知らなくて良い”

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04/30(Wed) 18:09
ロビン






「わからないね、君も。」



罪悪感?

そんなものあるはずがない。

そうだろ、…なのに。



「…あぁ、じゃあわかったよ。確かに私が悪かった。イカレた女をコマした私が悪いんだろう。私が悪い、それで構わない。」



これだから“女”は厄介だ。

甘い顔をすればすぐにつけあがる。

もうバレている“嘘”を取り繕うのに必死なのか、それとも“無意識”なのか――

どちらにせよ、質が悪いことには変わりないんだがね。



「――ただ、“論点”はそこじゃあない。男ってのは女に癒やされたがるものさ。疲れていれば尚更。君の“旦那”が私を剥いて悦ぶ類の男でなければね。」

「何の話ですか、」

「噛み痕、あれは君には少々キツいんじゃあないかい?かといって迂闊に蒔けない。“歯型”は個人を特定出来てしまう。君が装っているほど君が馬鹿じゃあないことは知っているよ。だから私は君が持つには一番マズいものをまだ持っていると踏んでいる。…どう?」

「だから関係ないじゃあ――」

「君が持っていればいずれバレる。時間の問題だ。彼だって馬鹿じゃあない。それどころか君のことになれば何をしでかすかわからない。諜報なんぞに話が回れば尚更困るのは君だと思うのだけど?」



さっきも言ったが私は逃げる術もツテもある。



「…“死にたくない”んだろう?あんなに私に縋って言っていたじゃあないか――おっと、忘れているんだっけ?」



背もたれに背を預け、彼女に微笑み掛けて。

さて、どこまで持ち堪えるかは見物だがこういうことは1秒でも早く解決するに限る。

けれど焦りは禁物。



「どちらが持っておくのが理に適っているか、知らばっくれずによく考えてごらん。」






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05/01(Thu) 20:01
時世




“死にたくない”と、

………“縋った”だって?



誰が誰に?

溢しこそすれ、すがるなんて――――――

そんなことあるかよ、よりにもよってフィレンツェさんに?

いくら“薬”の………忘れてるだけ?

いやいや、今はそんなことを考えてる場合じゃあないだろう?



「………それでも私はね、所詮それだけなんですよ」



もう遠慮なくフィレンツェさんを睨み付けて。
肩口の歯形を抑える。
笑顔が余計にムカつく。

だってそうだろ。

私が、もし、バレたとしても、私が持ってる分にはそれ以上追及しようがない。

私とリゾットの間の問題だけ、上も察するだろ。

私が消えたところで………仕方ない、それまでの人間だったんだ。
死にたくはないと思うようになってしまった私だけれども。

他人を巻き込むよりは、まだ……マシだと。

そう、思える。

まだね。



「フィレンツェさんも、買い被りすぎですよ、私を」

「でもやっぱり持ってるんだろうに」

「だから“関係ない”っていってるんですよ、貴方はまったくね」



だってフィレンツェさんは“そう”もいかない。

もしバレたら、彼はスベがあるなんて言うけど、大騒ぎになるのが目に見えて。
フィレンツェさんの言う通り、リゾットはなに仕出かすかわからないから。



「それで?」

「帰って下さい。早く」

「まさか君がバレたら、そこで自分だけで終われるなんて能天気なこと考えてないだろうな」

「……」



っていうかこの野郎、人が折角湾曲してたってのにストレートに表しやがって。
だから誠意みせて一応認めたのに食い下がるとか。

いや、それ以前に。

私はどうも彼が“苦手”でね、正直に言って。
こうなった今となっても…ううん、今でこそ。

疑ってるんだ、信じていいのかって。

彼に“持たせた”らそれは私の弱味だから。

でも、………でもね。



「めんどくせ」

「……」

「今すぐ出てってくれたらあげますよ。
でも私、貰ってくれなんて言ってませんからね」




―――これだから、自分の責から逃げたがるから。
“選択”を他人に任せたがって逃げるから。

駄目なんだね、私ってやつは、追い込まれないと。

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05/02(Fri) 05:40
ロビン







「言わなくていい、そんなこと。」



真っ直ぐ。

彼女の黒い瞳を見据えて。



「そして私は出て行かないよ、君が“ソレ”を私に移転し、尚且つこれ以降動かさないと約束するまではね。」



リスキーなのは、果たして。

買いかぶり過ぎと言った彼女だが、私はそうは思わない。

確かに感情的だ。

わかっている。

だからこそ、…“似ているからこそ”と言うべきか。



「…どう思うだろうね、リビングに居るメンツは。」



微笑んだまま。



「続くリゾット君の不在、体調不良の君、気遣う私の姿、長々と君と二人きりの空間から戻らない私――」






――さて、痺れを切らして様子見に来るのは誰だろう?






「…知りませんよ、そんな」

「いやいや、侮るなかれ。万が一にも“クサい”なんて思われてみろよ、君の歯型は最後にはアバッキオに暴かれる。どんな経緯で、どんな風に……なぜ君の歯型を君自身が持っているのか。」



勿論私は構わないし、私は死なない。

何があろうと。



「まぁ、ゆっくり考えてくれ。“私には”時間があるからね。」

「――“私には”…?」

「そう、私には。」

「ハン、組織内で強請りですか、」

「物騒な言い方はやめてくれ、これはただの説明だよ。説得にさえなっていない。」

「だから――」

「これ以上私からは何も言うことは無い。ゆっくり、気の済むまで考えるといい。“キミのタイムリミット”まで、ね。」





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