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こっそりひっそり。

2人だけの秘密。



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04/03(Thu) 15:03
ロビン






なんだかよくわからないけれど。

今日の彼女は少しだけ“甘い”気がする。

いやいつもだって十分甘くはあるのだけど。

なんとなく、ね。



「…食事は後回しにしようか。」

「え、なんで?お腹減ってるんでしょう?」

「あぁ減っているとも。ただ、もっとうんと減らして、たまには美味い物を腹一杯食べようかなって。どう?」

「えぇー、体調管理は?」

「1日くらい偏ったって構わないさ。毎日ちゃんと考えているからね、これでも。」

「いやそりゃあそうでしょうけど…」

「嫌ならいいよ、別にね。」

「1人で?」

「まさか。行かないだけだよ。不様だろう、いい歳の男が1人で食事だなんて?忙しそうなビジネスマンには見えないしね。」

「あ、これ私脅されてるわ(笑)」

「人聞きが悪いな。誘ってるんだよ。…いかがです、シニョリーナ。今夜私と共に夜景の綺麗なリストランテで食事でも…」

「うおぉぉ…!!全力でやめて下さい行きますお供しますから…!!」

「やったね!じゃあ決まりだ。」



ほら見ろ。

彼女は案外こういうのに弱い。

いや、慣れてないというか、恥ずかしいというか。

瞳を真っ直ぐ見つめながら。

そうすれば大体こうなるわけで。

…ただ、知り合いだからこそ実は私だって多少恥ずかしくはあるんだ。

気付かれないように取り繕ってはいるけれど。

流石私だ、超演技派暗殺者と自負しているだけある。



顔を真っ赤にしながらティーカップを傾ける彼女を盗み見て。



「じゃあ、それまでどうしようか。何で時間を潰そう?」

「んー…」

「――あぁ、こういう時にあのCDを聴けばいいのか。よしそうしよう。」

「え?」

「車のオーディオだと弱いな…一旦ウチに帰っても?」

「は?」

「決まりだね。ほら時間が勿体ないよ、1日は24時間しかないんだから。早く早く!」

「ちょっ――」

「あら、もうお帰り?」

「いえあの――」

「あぁ。――つりはいらないよ。」

「そう?」

「じゃあ、また来るよ。チャオ!」

「チャオ、カナリーノ!」

「…“カナリーノ”はやめてくれ!」

「はいはい早く行きなさい、フィレンツェ!」

「ご、ご馳走様でし――うお!!?」

「早く行こう!ほら!」

「ま、待ってよ〜!」






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04/04(Fri) 22:20
時世



あれ?


なんか、アレ?

いつもと微妙にキャラちがく……いや、こんなか?

なんか少しフィレンツェさんも楽しそうだから、まぁいっか。
うん。


この“タラシ”が!
ハゲてしまえ!!


とは心の中だけに留めてあげる、今日はね。
あぁ私ってなんて優しいのかしら(棒)

あの女の人もほんとのほんとに大丈夫かな、実はフィレンツェさんに惚れてて私しっかり恨まれましたとか止めてくれよ。

大体、マジでフィレンツェさんてどういう神経してるんだろうか。
私に、この私にまで悠々あんな真似出来るとかいっそこえーよ。



「ところでカナリーノ」

「なんだって?」

「フィレンツェさん!…ほんとに家へ?っていうか急ぐ必要性なかったんじゃ」



本腰入れて音楽聞くって二人でいる意味なくないか、いや気まずくなりようもないし歓迎だけど。
フィレンツェさんがそうしたいならそれでいいけどね…私は、今日はね。

さてじゃあ今日は完全にフィレンツェさんに1日をジャックされるようだから、何人かに連絡入れとくか。
プロシュートさんとか私、うちに居ると思ってるだろうしな。



「でも再生時間そんなに長くないですよー?」

「一つ一つはね。
それでなくともうちに帰れば色々あるし」

「ちょっと待ってマジでガッツリ鑑賞会っすか」

「イヤ?」

「イヤじゃないです」

「まぁスデにさっき決定されてるからね、行くけど」

「……ジャイアン」

「?何だって。」

「いや、“心の友よー”って、思い出して」

「だから何だよソレ」



私も大概言われてるが、フィレンツェさんも初見ゴロシのミスター第一印象というか、つまり。

………いいや、やっぱり。

なんでもないっ!




「なんだかんだで私達も、“仲良し”ですねって話ですよ!」




さて鑑賞会中は邪魔されるのもやだし、今のうちにメールでも打つかな。

電源落としちゃおうっと。

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04/05(Sat) 12:17
ロビン






「ハァ…」

「…あ、の、」

「……ハァ…」

「…あの……」

「…………ハァ…」

「フ、フィレンツェ…さん?」

「素晴らしい、感動した。今までこんな音を知らずに生きてきただなんて。」

「あ、なんか始まった。」

「奥ゆかしい豊かな余韻、艶やかでどこまでも澄んだ音色。清廉で神聖で、儚くも力強い。――そうだな、例えるなら初夏の真夜のようだ。しっとりと包み込む空気は、少しひんやりしつつも心地良く纏わりついて。シルクもそうだ、イメージにぴったり。厚めの重い生地が肌の上から滑り落ちるような。色はネイヴィー、アイボリー、深緑に水色。女に例えればダークブラウンの長い髪に色白で、顔立ちはオリエンタルな、体型は豊かだけれど芯は強く控え目な性格………ハァ…たまらない…」

「すげー出てきたな(笑)」



我が家にて。

鑑賞会、という程でも無いのだけれど。

彼女がくれたプレゼントのCDを聴きながら、これまたプレゼントの黒いうさぎのぬいぐるみを膝に置いて。

日本のミュージシャンらしい。

空条さんとも知り合いなのかもしれないと、かの地に思いを馳せながら。



「勃起しそう…」

「ブッ!!www演奏者は男ですよ!」

「音はオンナだったんだよ!!わからないのかい!!?」

「えー、少年のイメージでもあるんですがwww」

「……ふむ、そうか。それもある。爽やかな風が吹く春の野に立つ少年――フィーネとか、そんなくらいの歳の。柔らかい春の日差しを受けて不意にはにかむような、初な音かな。」

「ヤバいそれ私がヤバい鼻血出る頂きます。」

「おいおい、人にはあんな風に言っておいて君は…」

「フィーネ君直衣着ないかな…」

「やれやれ、こりゃあ重症だな。」



ソファの肘掛けに拳をバンバン叩き込む彼女を見て。

うさぎのぬいぐるみに向かって首を傾げれば、やはりうさぎは何も答えてはくれなかった。



「フィーネ君、直衣、カァーたまらんっ!!」

「ほら咲ちゃん、大丈夫かい?…見てごらん、うさぎがご主人様を心配しているよ。」

「………うさぎ2匹…」

「は?」

「いや、なんでも。」





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04/06(Sun) 09:50
時世


おかしい、いい歳した男性なのにこうして直にフィレンツェさんが持ってる分には……

…おい、あんま違和感ないなマジで。

うさぎさん。



「うぅ…でも……はぅ……美味しいよ…好きなモノ×好きなモノとか…!」

「まだ言うか。私などよりよっぽど君のがタチ悪いじゃあないか…」

「だって現存するんだもんちょっとくらい夢見たっていいじゃないですか…!
そうだ京都なら実現可能だ旅行へ行こうフィーネ君あぁああ会いたいもふりたい癒されたいィイイ!!」



テンション高極まって、フィレンツェさんがこちらに向けて持っていた縫いぐるみにダイブ。
フィレンツェさんごとぐりぐりしたけど、うん。

フィレンツェさん、硬い。

一頻腰あたりに頭ぐりぐりしたけど、やっぱりフィーネ君ぐらいの若い子がいいね!←



「………それで、」

「ほら起きなって、うさぎが潰れるよ、可哀想だ」

「柔な縫製してません。
っていうかうぇあフィレンツェさんにやっちまったよやっべ何やってんだ自分。
……で、それで、…一応、合格です?」

「何が?」

「CD」



離れて、兎の縫いぐるみを改めてフィレンツェさんに渡しながら。



「最初はちょっと野暮ったい感じがするかな、って思うんだけど…余韻がね、綺麗ですよね」

「ああ、だから絶賛してるじゃあないか」

「なら良かった。フィレンツェさんに音楽渡すとか内心ドキドキだったんですからね!」

「そんな勝手にハードルあなくても(笑)」

「勝手に上がるわ!!!」



フィレンツェさんみたく詩人じゃないからうまく言えないけど。
私も好きだから、プレゼントした訳で。
うん、フィレンツェさんの言葉に反論はない。

神聖で、………。

でも、少し憂い気がするんだ、私には。
何もかも、澄んだ水面を通して像が結ばれている、ような…?
水のようにまとわりつくようで、その実手を伸ばそうとしただけで霧散してしまうようで。
それでも優しくそこにあって、けれど夢幻のようで。

いや、負のイメージがあるわけじゃあないんだ。

ただただ“綺麗”で。
初な音、……あぁああフィーネ君…



「……ま、その子も大事にしてあげて下さいね」



内心でまだ煩悶しながら、兎をこちらに向けたまま苦笑しているフィレンツェさんに言って。

我ながら良くできた兎の縫いぐるみの耳を撫でた。

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04/07(Mon) 05:11
ロビン






現在時刻20時14分。

私と咲ちゃんは車内にて、今まさに壮絶な後悔に襲われていた。



「慣れないことはするもんじゃあないね…」

「…い、胃薬…!」

「なんだって…まだ胃薬が入る隙間が残っているっていうのかい…用意周到なことだ……」

「だって、い、今無理やりにでも胃薬飲まなきゃ絶対後悔する――ゔっ…」

「おいおい吐くなら外で頼むぜ、咲ちゃん…ゔっ…」

「ふ、ふふ、道連れですよフィレンツェさん…!!」

「やめてくれ、本当に“もらって”しまうから…」



どっちが多く食べられるか、だなんて。

我ながら子供じみたことをしたものだ。

いや、あれは咲ちゃんが挑発してきて――いつものことだったのだけれど。



今にして思えば、あぁきっとあのデカい肉が効いているんだ。

そうかと思えば牡蠣に目移りしてみたり。

それと終盤に二人で食べ比べた数種類のドルチェ。

確かにびっくりする程美味かった。

が、たまにはこんなのもいいかと思ったけれど、やっぱり普通に食べるのが一番だ。

車に乗り込んで約10分。

なるべく揺れないように走っているものの、この内側からの圧迫感には耐えきれそうにない。



「――…ち、ちょっとフィレンツェさん?」

「早く帰りたいのは山々なのだけどね…苦しくて仕方ない…」

「あッ、コラ早く運転して下さいよ!」

「……君は相変わらず元気そうでなにより。悪いが少しだけ休ませてくれ。君も。シート倒せるかい?」

「お構いなくッ!」

「そう…」

「え、や、ちょっと何やって――」

「苦しいからボタン外しただけ…何、君に突っ込むとでも思ったかい、こんな時にこんな所で…?」



いよいよマズい。

適当に車を停めてシートを倒し、ジーンズのボタンを外してジッパーを下ろす。

助手席から何か声が聞こえてくるが中身が見えるわけじゃあなし、適当に返事をして。



「…………」



落ち着こう。

ゆっくり呼吸をしながら腹をさすり、それから今日聴いた曲を不意に思い出した。



「……マズい。」

「何がです――…何やってるんですか!!?信じられない!!」

「あッ、こっち見るなよ!!クソッ!!」



何が起きたかって?

ナニが起きたんだよ、思い出したら。

あぁ、なんてダサい誕生日だ。

恥ずかしくて消えてしまいたいよ。







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