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こっそりひっそり。

2人だけの秘密。



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03/17(Mon) 15:01
001
時世

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03/17(Mon) 15:02
時世




気付けば、随分と時間が経っていた。



振り返ればほんとうに様々なことがあったし、

……いやその一言で片付けるには難がある程ほんとに色々とあった。

このイタリアに至る迄は、それなりにありふれた人生だったはずなんだけど。

ギャングとか何それな日本人だったはずなんだけれど今ではなんか、私。

かなり組み込まれてる。

“組織”に。


此処はイタリア、
貴方はイタリア人。

此処はイタリア、
そして私は日本人。


所詮“異物”の私は、けれどそれなりの立ち位置にいられる、何故なら。

いいや私が望んだ訳ではない、ような、やっぱり私が自分で選んで此所まで来たのだから、私が望んだともいえる、か。


“リゾット・ネエロの女”


それ以上でも、それ以下でもない。

“此所”で私を指す言葉。

それでこそ私にようやく、此所での“価値”が発生するんだよ。

わかってる、自惚れてなどは、いない。



「……咲ちゃん?何だい、私のカオに、何か?」

「え、別に」

「あぁ見惚れてたって?
やだな、いくら私がイケ面だからってリゾット君に睨まれたくないよ」

「うぜえwW」



フザケたこと言って。

何人かがいる、リビング。

見慣れた面子。

私の隣にはリゾット。

いつも通り、何ら変わらない情景。



「馬鹿言ってないで下さいよ、…フィレンツェさん」

「ホントにどうした?」

「眠いだけです……。あぁでもカオは良いんですよねぇ、ほんと、カオはね」

「カオだけな」



軽口を叩けばプロシュートさんがそつなく口を挟む。

そしてフィレンツェさんの意識はそちらへと向かい、私は最初のように彼の顔を盗み見て。

表情豊かなそのカオに忌々しさなんぞ感じながら。

舌打ちを噛み殺して一度、目を閉じた。

私は自分を“不幸”とは更々思っちゃいないけど。

…………でも、きっと。


何処かで間違えたんだ。

認めたくはないけど。



「…ねぇ、今週の皆の予定って、どうなってるの?」

「眠いんじゃあなかったのか?まぁ、今のところは特にこれといってはないが」

「……そう。
ん〜〜〜…珈琲淹れてくるわ…誰か飲む?」

「飲みたいがお前の淹れるのはただの色水だ」

「悪ぅございましたね!」



“いつも通り”の情景。

私は“今”が嫌いじゃないし寧ろ好きだけど。

もうそろそろ……駄目、

かも。

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03/17(Mon) 15:45
ロビン




いつも通りの光景。


私がいつも通りふざけて、それにいつも通り(関係ないクセに)噛みつくプロシュート。


いつも通りまたかよとげんなりするペッシ君に、いつも通りまたかとニヤつくホルマジオ君。


いつも通り知らぬ存ぜぬのリゾット君は、さっきからアッチ(夢)とコッチを行ったり来たり忙しいようで。




いつもと何ら変わりない、日常的な、1ミリたりと変化の無いいっそ呆れ返るほど“いつも通り”の光景に――…しかし違和感があるのは何故だろうと心の中で小首を傾げつつ。



そりゃあ、イルーゾォ君とメローネ君、あとガブリエルは居ないけれど。


そうそう。


そういえば、ガブリエルのヤツ連絡も寄越さないんだ。


こちらから“心配してるから連絡を”ってメールを入れて、それっきり。


確かに35のオジサンがどうなるわけでも無いんだろうが…だって考えてもみろよ。


ミランダに捕まった時だって。


自分が過去にしでかしたことで彼女があんなことになったんだ。


誰だって心配になるさ。


今はなるべく大人しくしているつもりなのだけど。


確かに最近は、何も無いんだけれどね。


まったく、ガブリエルもミラノやらローマやら行ったりきたり。


少しは考えて欲しいものだよ。


…いざとなればリゾルートが居るから、いいけれど。



それにしても。




そうか。


咲ちゃんだ。




違和感の正体。




ぼうっとしていた割には心拍が強いというか。


速くはない。


むしろゆっくりだ。




(…………?)




あれから何度かチラチラと私を見ていたようだが――ただの自意識過剰ならいいのだけど。


いつの間にかうっかり不味いことでもしでかしたか?


……まぁいい、さわらぬ神に祟り無し。


今日はこのまま大人しくしていよう。




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03/17(Mon) 22:12
時世



適当に淹れた珈琲片手にソファに――リゾットの隣に座り直して。

意識してフィレンツェさんから視線を剥がす。


どうにも、いけない。


最近。
彼を見ているとなんだか嫌なモノが胸に溜まるよ、いけない、いけない。

――――理性はまだ、ない訳じゃあないんだ、一片。


いけないね。


声だけなら問題ない。
全然違う、喋り方も。

“誰かさん”とは違うんだ……だからね大丈夫。



「咲?」

「ん?」



プロシュートさんがこちらを見……というかカオを覗きこんで来た。

私も彼を見返す。

平然と。



「アイツがどうした?」

「あれ、私、そんなフィレンツェさん見てました?」

「ああ」



ああ、って。
キッパリ肯定されてもな。
ああそう、なんて返しても追及されるだろうな。

……そんなに見てるつもりはなかったんだけどな。


どうしようかな。


私はこの“日常”が壊れることを、何よりも恐れていた……はずなのに。

あぁほら、リゾットが片手でプロシュートさん押し退けて、彼は文句言って。
リゾットは(ほぼ無表情だけど)憮然として。
周りは囃したてて。
あるいは苦笑して。

居心地は良い、でも何故かね、

……苦しいんだよ。

もう、ずっとさ。

しかも自分が自分じゃあないみたいに、何処か他人事のようにさえ感じていて。

私はまったく、……何処で間違えたんだろうな。



「んー、やっぱりガガさんが隣にいないフィレンツェさんって、なんかなーって思ってただけなんだけど」

「はぁ?」

「見慣れて、しっくりきてたから……変な感じ?」

「そりゃガガも自分の仕事も生活もあるだろうよ」

「ガガさんはフィレンツェさん召喚出来ても、フィレンツェさんはガガさんを召喚できないんだもんなぁ」

「召喚w」

「電話一本で全てに優先してフッ飛んで来るイメージただし颯爽とではなく必死の形相(笑)」

「間違ってねェな」

「君たちねェー……」



故意に茶化せば周りがノって、それでようやく我関せずと此方をシカトしていたフィレンツェさんもこちらを見る。
とはいえ、彼の機微など私の知ったこっちゃあない。

問題なのはガガさんが
“いない”ってこと。

彼女が彼の隣にいれば、私はきっと、踏みとどまれるのに、何で、



「……ガガさん、まだ帰って来ないんです?」




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03/17(Mon) 23:28
ロビン




「んー、まだ当分掛かるだろうね。」



今日前ノリして、明日リゾルートの同伴者として一緒に株主総会へ出席。

夜はその会社主催のパーティーに出て、明後日の午後…下手すれば夕方か夜か。

気が向いてあちらで軽く観光なんかもしてくるかもしれない。

行き先はイギリス。

まぁ、母方のばぁちゃんの墓参りとかもこんな機会が無い限り出来ないだろうからね、いいのだけど。



「こりゃあいよいよ本格的に寂しいんじゃあねぇの?」

「あぁ、フィーネでは確かに不味いか。」

「ゴホン、ホルマジオ君…?…そうらしいよ。あの二人じゃあ悪目立ちするだろうしね。フィーネは連れて行かなくて正解だよ。」

「なぁまだ召喚されねーのか?お?」

「お前は黙ってろバカシュート。」



フィーネは過去が過去なだけにね。

まぁ仕方ない。

彼自身の体力の問題もある。

リゾルートの判断は正しかったわけだ。



「…にしても、ヒマになってしまったな。」

「ヒマ?なんで?」

「うん…今夜ね。明日の晩は仕事だからいいのだけど。」

「じゃあ俺たちがタダメシ喰らいに行くからよ!!」

「静かにしていてくれるなら結構だよ。」

「バカか、コイツら騒ぐに決まってンだろ?」

「じゃあ“却下だ”」

「うっわやべー似てる似てる(笑)」

「今のはディーヴォだからね。」



散々ふざけて、ヘラヘラ笑って。

地味に傷付く一発ネタも披露したよ。

…こないだ酔っ払ったガブリエルにねだられて。

やったら顔痛いとか言われるし。

あの鬼軍曹みたいな顔はなかなか真似出来ないからどうかと思ったのだけどなかなかだったようだ。

ちっとも嬉しくないよ。



それにしても、ホントに今夜どうしようかな。

DVDも見終わったし、また何か買ってこようか…



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