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製作者たちのいろいろ。

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07/14(Thu) 04:23
陰陽師スレ
ロビン





(`主ω様´)キリッ

(*´ω`*)(*`ω´*)(´-ω-`)



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07/21(Thu) 06:52
【喧嘩、仲間、山の思ひ出】
ロビン






「よう――」

「何しに来やがった。」



気まずそうに木の陰に隠れていた鼬さん――プラシドさんだろうか。

面影がある故恐らく、それに言い種とてそう思わせるもの故。

こちらにずかずかと歩み寄りつつ、眉間や鼻筋に皺を寄せて大層機嫌の傾いだ面立ちにて随分とご挨拶なことを申しておるのだけど。

主様の肩から降り立ち人型を取ったルチアーノさんは臆することなくプラシドさんに向かう。



「返事くらいしろよ、この“万年役立たず”が。」



蔑みも嘲笑も無い、純粋な負の眼差し。

プラシドさんはそう申して立ち止まった。



「…元気そうで何よりだ。」



ルチアーノさんはプラシドさんの目の前でやはり立ち止まると、一言。

ふと、二人を見守る僧坊と主様に視線を巡らせば。

我関せず、とこんな具合である。

フィーネ君でさえ迷惑そうにしてふんすと小さく鼻を鳴らしておるだけ。

何故?

見たところ結構な修羅場に思えるのだけど…



「テメェは莫迦か?問いには正確に答えろよこの無能。」

「テメェの問いなんぞ答えてやる義務は無いんでな。」

「あぁそうかい、だったらテメェらは俺にゃ関わりなきことで参ったんだろうからさっさと失せろよクソ野郎。視界に居られるだけで虫酸が走る。」

「テメェなんぞどうだって良いが生憎ホセを探してるもんでな。そんでいつぞやの坊さんに辿り着いたんだが。悪いが俺もテメェに構ってやる暇は無ぇんだよ。」

「じゃあどけよ邪魔臭ェ。俺に用は無ェんなら消えな。」

「あぁ無ェさ。だからテメェが消えりゃあ万事解決だ。失せろクズ。」



大声を上げるでもなく、ただ淡々と言葉を紡ぐ二匹に何と申せばよいやら、私はハラハラしつつ眺めておるよ。

勿論余計なことを申すつもりなどこれっぽっちも無いけれど…


だってね、プラシドさんは背中に背負った鎌を両手に構えるし(鎌だけに)。

ルチアーノさんもあのいかにもな棒を手に仁王立ちしてるしね。

それで両者とも目は思いっ切りつり上がっちゃってるし、牙は剥き出しになってるし…

されど誰も興味が無さそうで…

…これって私が可笑しいの?





(続

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07/22(Fri) 05:50
【喧嘩、仲間、山の思ひ出】
ロビン






皆が皆何を考えておるかいまいちわからない。

ただ、プラシドさんとルチアーノさんだけは互いに威嚇し合っており、一触即発というのは誰の目にも明らかな事ではあった。

やがて見つめ合うばかりであった鎌鼬の二匹はふっと溜め息にも似た吐息を。

苦笑いの後、その手に携えた棒や鎌を放り投げて。



「――死にさらせやボケェ!!」

「――くたばれ三下がッ!!



…やると思っておりましたとも。

伸ばされた片手は確かに互いに肩を叩くように見せて、その実両者とも互いに胸倉を掴み合っている。

そして言葉と同時に繰り出された拳は綺麗に顔面目掛けて飛んでいったらそりゃああなた、アレですよ。

プラシドさんは口元を、ルチアーノさんは目蓋をぱっくりと切っておられる。

流石に流血沙汰は不味いのではと主様を見れば僅かではあるけれど不機嫌なるご様子にて…



「…邪魔をするでないぞ。くれぐれも申しておくが。」

「…?…あい。」



邪魔をするなどとそんな、私とてあんな狂気の沙汰にへらへらと首を突っ込むほど間抜けではありませぬ。

ただ…こう、釈然としないんだ。

物凄い音がひっきりなし。

唸り声やら怒号やら、正直そろそろ見ておられぬ程度にはボロボロの二人をどうして止めぬのか…


――というか。

物凄く今更なのだけど、何故鎌鼬さんたちは“この姿”なのだろう。

これが本来の姿?

フィーネ君と同じくあの童子姿の時は抑えておるということ?

だとしたら今は――


…いや、待てよ。

だとするならば何故“今”“この姿”なのだろう。

よりにもよって“今”


だって、鎌鼬さんたちは“三匹で一つ”だ。

役割を分担しておる方々が散り散りになってしまえば不完全であることは言わずもがな。

では、…そうだよ何故私はかようにのほほんとしておるのだ。

ルチアーノさんも申しておったではないか。


彼らが仲違いする切欠は、獲物を狩り損ねた事。


それから幾日か過ぎて、童子姿を見たのは夕刻、私に会ったあの時のみ。

あれは、童子姿はフィーネ君とは逆に満たされた姿なのではなかろうか。

今のこの姿は――


はっとして意識を引き戻し、彼らを見れば。

毛は白く、肌の張り艶は失せていて。

年老いた鼬が二匹、息も絶え絶えにそれでも拳を振るう姿であった。






(続

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09/07(Wed) 23:47
何処に置こうか迷った挙げ句でも勿体ないので置いていく。
時世





★時世設定の三尾の狐と五位鷺殿




ある日のことであった。

都の、よく物売の並ぶ路の、小川に掛かる橋の、そのたもと。

欄干にとまる一羽の鷺。

ただの鷺ではない。

いずれかの帝の時分、五位を授かったという鷺のもののけ。

そしてその下で、毛を逆立てた一匹の狐。

真っ昼間、狐が斯様なところにいるとは珍しい。

ただの狐ではない。

人の目には変わりなく写っているはずではあるが、
その尾三つに裂けた妖狐である。

この獣共、一見すれば威嚇する狐と素知らぬカオでおる鷺に見えよう。

だが見る者が見れば何者か知れ、その言葉を解することも易きこと。

鷺と狐のやりとりとて、物珍しく見物する民草に混じる陰陽師一人。

その妖狐に見覚えありて歩を止めしが、アチラはとんと気付く様子もない。

此は面白いとばかり、陰陽師、姿を隠して眺めておれば。


「おのれ……おのれ……っ!」


キーッ!シャーッ!!

と、立派な黄金の豊かな尻尾膨らませ、荒ぶる狐。


「言葉になっておりませぬぞ」


あくまで涼しいカオをして、羽をひらひらさせる鷺。

幾度か狐が飛び掛かるも、鳥たる鷺は段々と高きへ留まる場所を変えて行く。

狐は地団駄踏んで曰く。


「卑怯ぞ。
降りよ、食ろうてくれる」

「おやおや、私など食べては不味いどころか腹を壊します。
寧ろお狐殿のため」

「くうぅ、ああいえばこういいおってこの……ッ」


荒ぶる狐はあわや白昼正体現すところ。

見ていた陰陽師、思案するうち、しかし、狐は不意にぺしょんと尾を下げて。


「……もういい、疲れた」


そう言って、てこてこ橋を渡り、鷺を見上げる。


「行くぞ。主様に用があるのであろう?
飛んで行った方が早かろう、私も飛ぼう」

「流石にお狐殿を掴んで飛ぶのは無謀……」

「たわけが。貴様何ぞに身を預けるか!
そのほそっこい体に何の期待もしておらぬわ」

「おや、なればどうするおつもりで?」

「その気になれば飛べる。気高く強き妖狐の一族なるぞ、しかも三尾ぞ」

「おや……飛べると?」

「飛べるとも。五位鷺殿のように立派な翼はなくとも、鬼に飛べて狐に飛べぬ訳があるまい」

「ほぅ」

「……何ぞ」

「いえ、光栄ですね」

「意味がわからん」


ふん、と鼻を鳴らして、狐は苛立たしげに尾っぽで地を叩く。


「いいから主様のもとへ行くぞ、行って、貴様が帰るのを見届けなければ安心して眠れぬわ」

「私もお狐殿がお帰りにならねば帰れませぬな、主様が貞操が為」

「それはこちらの台詞だ!この詐欺師め!」

「さてさて、人も集まって参りました故、そろそろお暇しましょうか」

「む、……くっ、見世物ではないというに。
獣の喧嘩見て何が面白いか」

「(鷺と狐は珍しかろう)」


ぐるりと辺りを見回す鷺に続いて、狐もぐるりと辺りを見回す。

そして少し離れたところに人々がたまっているのに顔をしかめて溜め息。


「では、行くぞ」

「では」


こうして、一羽と一匹は、仲良く『主様』が屋敷へと向かいましたとさ。

事を眺めていた陰陽師は、ふむ、と一人頷き静かに帰路につく。

そうしてその道すがら。

ふと思い出したように呟いた。



「あの男には、衆道の気があったか……」






了。

主様乙←

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09/21(Wed) 02:55
【喧嘩、仲間、山の思ひ出】
ロビン






「もっと早くこうすれば良かったではありませぬか…」



呆れてモノも言えませぬ。

目の前にはしょぼくれた童子が二方。

ぷいっと互いにそっぽを向いて、精一杯のその顰めっ面のなんと憎たらしいやら可愛らしいやら。



「俺は謝らぬぞっ!」

「俺とて謝らぬからなっ!」

「では…僕には何かありませぬか?」

「ひぃ!!」

「お助け!!」

「無礼な、いくら腹が減ろうと僕とてかような貧相なる鼬など食らいませぬ!」



ふんすと鼻を鳴らしぷんすか憤るフィーネ君。

可愛い――いや、お怒りごもっとも。


先ほどの喧嘩にて、結局見ていられぬ程に年老いた二方の間に割って入り、気をやってしまった所をこうして助けたのは誰あろうフィーネ君だったからだ。

常ならばフィーネ君が与えるのは“精気”であるはずなのだけど、この鼬さんたちは死霊である。

死した者に精気は分け与えられず、フィーネ君が本来持っている“生気”を分け与えたというのが…なんとも心配な所ではあるけれど。


されど。

フィーネ君は神の中でも若年にて、他の神々からすればまだ赤ん坊のごとし。

微々たる生気を分け与えた所で寿命が目に見える程縮むわけもなく、なのでこうして今、鼬の童子たちの前に仁王立ちして居るわけだ。



「フィーネ、もう良い。」

「しかし主様、」

「こうも怯えられては話すこともままならん。よいから退け。」

「…はい。」



煮え切らぬ返事をし、此方へ戻ったフィーネ君を一撫ですれば、まだいくらか腑に落ちぬであろう面立ちではあるものの私を見上げて。



「…ん?」

「……………わふ。」





(続

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