期待させないでよ──…
□部活の休憩時間
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*桃井side*
〜回想〜
「テツくーんっ! お疲れ様♪」
私は、休憩時間が始まると同時にテツ君のところへ飛んで行った。
タオルとスポドリを渡すと、「ありがとうございます」って言って、ニッコリ。
「はぅっ」
テツ君……カッコよすぎ!!
ていうか、いきなり笑顔は反則だよ……!
「桃井……落ち着け」
赤司君に呆れた視線を向けられる。
「もぉ……、いいじゃない、別に」
雪愛が動く気配がなかったので、赤司君にもタオルとスポドリを差し出した。
雪愛以外の女の子に渡させるわけにもいかないしね。
帝光の男バスマネージャーのほとんどが、赤司君のこと好きなんだもん。
そんなことを考えていると、
「どうかしたか?」
赤司君が顔を上げた。
……というか、私、ずっと赤司君の方を見てた!?
うう……、テツ君の前で何やってるんだろ……。
「……んーん、なんでもなーい」
何でもない風にそう言ってから、少しイタズラを思いついてニヤニヤと笑う。
「あぁ、でも。雪愛じゃなくて私でゴメンね?」
瞬間、赤司君がケホッとむせた。
赤司君の場合、この反応はかなり動揺してるってことぐらい、知ってる。
ふふふ、私の情報収集能力を舐めてはいけないのだよ。笑。
ってことは、つまり、雪愛、かなり脈アリじゃない?
〜回想終了〜
「──ってことがあったの、さっき」
「な、何やってんの、さっちゃん……」
赤司君に私の気持ちがバレたらどうするの……。
でもでも、それって、期待していいの……かな?
うーん……、どうなんだろ……?
「雪愛、一緒に頑張ろ! 私だって、絶対テツ君を振り向かせるんだから!」
グッとさっちゃんが拳を握りしめる。
「う、うんっ! 約束だよ!」
私とさっちゃんはお互いに小指を絡めて、それぞれの恋愛成就を誓った。
それぞれの好きな人への想いは、同じくらい強かったはずなのに……
──カミサマは不公平だ。